ダイヤモンド・オンラインに慢性疲労症候群(CFS)の記事が掲載されていました。
「慢性疲労症候群」の脳内に広範囲の炎症を発見!“怠け”と誤解される異常な疲れとの因果関係|「引きこもり」するオトナたち|ダイヤモンド・オンライン |
先日の研究で、CFS患者は脳に炎症が生じていることが明らかになりましたが、それはいったいどういう意味なのか、ということがわかりやすく解説されています。
阪市立大学疲労クリニカルセンターの中富康仁研究員(ナカトミファティーグケアクリニック院長)が説明しています。その部分を引用してまとめておきます。
◆脳の炎症の原因
例えば夜遅くまで働いていると、体はアクセルをずっとふかして交感神経系が活性化していますから、寝ようと思ってブレーキを踏んでも急には眠れなくなったり、緊張状態が続いていたりすると、睡眠が浅くなることがあります。
通常は睡眠で回復していきますが、そういう状況が続いて、脳でのダメージがある一線を越えてしまうと、自分の力だけでは回復できない状態が起こってくるのです
特にロングスリーパーの人では、周りの社会に合わせるために睡眠が足りない状況が起きやすいことが書かれています。
慢性的な睡眠不足から慢性疲労症候群(CFS)が起きやすいことは、このブログでも取り上げてきたとおりですね。
小児慢性疲労症候群(CCFS)とは (3)10の原因と診断の流れ| いつも空が見えるから |
◆脳に炎症が起こるとどうなるか。
脳がそのときの負荷などを回復させるには、睡眠はとても大事です。そこが障害されると、脳としては戻らないままになる。
休みが取れないまま、脳がずっと動いていく状態になって疲弊して炎症が続き、簡単なことでも無理をしたように感じてしまうのだと考えられます
例えばちょっと歩いて出かけるといった運動でも、炎症が生じてしまうと書かれています。
◆研究の意義は?
すぐに治療法開発に結びつくようなものではなく、炎症を抑える薬が効果的かどうかもわからないそうです。
しかし研究成果としての意義はあります。
慢性疲労症候群についてはこれまで、知識や理解も少なく、医療従事者の中でも否定的な方が多かった。
そんな中で、実際にこういう病態が起こっているという客観的事実は理解しやすく、大事なきっかけになるのではないか
CFSが怠けや詐病とみられることに対する重要な反証になるということのようです。
◆どう治療するのか
眠のリズムを崩して慢性化させてしまうことは避けないといけません。
まずはレベルを一旦落とし、午前中に光を浴びて、脳の中でホルモンを夜に立ち上げるようにしていくリズムからつくりだします。
また、調子のいい日でも6~7割くらいにとどめて、調子の悪い日でもできる運動から始められるくらいのレベルを継続し、リハビリ的に伸ばしていくことです
具体的に言うと、睡眠リズムの是正と、プッシュ&クラッシュを防ぐ認知行動療法、そして段階的運動療法ということになるのでしょうか。
CFSの人は、調子のいい日に動きすぎて、その後2~3日に寝込んでしまうことを繰り返すと書かれているので気をつけたいところです。
引きこもりとCFSの共通点についても指摘されています。
従来の研究では、不登校やひきこもり、と言われている人の中には実際には慢性疲労症候群(CFS)の診断基準を満たす人が多いとされているので、そうした人も病名が得られるようになってほしいです。怠けではありません。
こだわりの強い人がなりやすいとの説明は、「患者が悪いのか」と誤解を招きそうですが、そういう意味ではないと思います。詳しくは以下の記事を読んでください。
『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』を読んで| いつも空が見えるから |
脳の炎症、という事実が広く報道されたことで、CFSに対するメディアの捉え方が変わってきたような気もします。以前より具体的で重大な疾患だと認識されているのではないでしょうか。
いろいろ理解の深まる記事でした。