慢性疲労症候群や線維筋痛症、脳脊髄液減少症、化学物質過敏症などは、あまり知られていない認知度の低い病気と言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
このブログで扱っている慢性疲労症候群や線維筋痛症などのテーマについて、それぞれどのくらい知名度があるのかをGoogleキーワードプランナーで調べてみました。
このツールを使うと、平均月間検索ボリュームという指標で、あるキーワードがひと月にどのくらいGoogleで検索されたのかを知ることができます。
世の中の人は、「慢性疲労症候群」と「ひこにゃん」のどちらに、より大きな関心を持っているのでしょうか。「化学物質過敏症」と「セイタカアワダチソウ」とでは、どちらのほうが頻繁に検索されているのでしょうか。
何て暇なことをやっているんだ、と言われそうなので、言い訳をしておくと、キーワード調査はブログ執筆者にとって大事だとされています。そんなに時間はかかりません。得られた結果はちょっと興味深いものだったので記事としてまとめてみました。
設定と注意事項
キーワードプランナーの使い方についてはこちらを参考にさせていただきました。ありがとうございます。
今回はキーワードオプションで、入力した語句に一致するデータを抽出しています。これを設定しないと関連するキーワードの分まで計量されてしまうためです。
この機能をオフにすると、一緒に調べられることの多いキーワードが分かって、それはそれで興味深いのですが、そうしたことを調べだすとキリがないので今回は考慮に入れていません。
このツールの結果は、正確には知名度ではなく世間の人々の関心の度合いを調べたことになります。
たとえば、「板垣退助」は知名度は高いかもしれませんが、検索する人は多くありません。
しかし最近出てきた概念については、関心の度合いと知名度はある程度関連性があると思います。知っているからこそ調べるわけです。
計測結果を示す「平均検索ボリューム」とは、公式説明によると、「指定した地域と検索ネットワークのターゲット設定で、対象のキーワードが検索された平均回数です」と説明されていますが、あくまで概数であるとされています。
平均検索ボリュームは、ほとんどのキーワードでは直近一年間は各月だいたい同じくらいになっています。それで今回は2015年3月のデータを比較します。
なおADHD、CFSなどの英語略称は他の言語や他の単語を含んでしまい、結果が多めに出てしまうので除外しています。
それでは2015年3月の人々の平均検索ボリュームをご覧ください。
ディズニーランド 4540890
猫 2970790
ドラえもん 2428710
マリオ 706730
うつ病 553940
ふなっしー 450000
たこ焼き 413620
発達障害 389340
アスペルガー 352220
自律神経失調症 338030
パーキンソン 141900
人格障害 118020
低血圧 113470
アルツハイマー 102060
旭山動物園 85260
となりのトトロ 81290 (トトロ 230680)
不眠症 77140
不登校 48920
赤毛のアン 47280
ナルコレプシー 40150
自閉症スペクトラム 34670
線維筋痛症 30630
解離性障害 29290
慢性疲労 29280
起立性調節障害 29040
ブーゲンビリア 28360
慢性疲労症候群 25700
スタンフォード 24320
ひこにゃん 23050
愛着障害 19160
むずむず脚症候群 15690
ダイオウグソクムシ 15260
板垣退助 12470
激おこぷんぷん丸 12100
脳脊髄液減少症 12100
マヌルネコ 11000
副腎疲労 8920
化学物質過敏症 8630
セイタカアワダチソウ 7880
スベスベマンジュウガニ 7180
電磁波過敏症 5290
リーフィーシードラゴン 3860
慢性疼痛 3360
睡眠相後退症候群 2040
かつらむき 1600
オオカバマダラ 970
ウロコフネタマガイ 880
概日リズム睡眠障害 720
ハダカカメガイ 390
筋痛性脳脊髄炎 320
わさびアイス 170
若年性線維筋痛症 170
小児慢性疲労症候群 90
いかがだったでしょうか。
結果はどの程度まで正確に現状が反映されているかわかりませんし、設定の仕方によって数字は変わってきます。
たとえば「脳脊髄液減少症」はムチ打ち、低髄、減少症といった別のキーワードで検索する人もいるでしょう。またYahoo!やBingなど別の検索エンジンを使っている人のデータは含まれていません。
この結果はあくまで参考にすぎませんが、相対的な指標としては、各々どのくらい世の中の人が関心を持っているのか、うかがい知ることができます。
「うつ病」、「発達障害」、「アスペルガー」、「自律神経失調症」といった概念は非常にメジャーで、「たこ焼き」(名物)と同じほど一般的であり、「ふなっしー」(旬のご当地キャラ)と同じくらい関心を持たれています。
「慢性疲労症候群」に対する人々の関心の度合いは、「ブーゲンビリア」(花)、「ひこにゃん」(ご当地キャラ)、「スタンフォード」(大学・地名)などと、だいたい同じくらいです。
知名度としては、「線維筋痛症」、「慢性疲労症候群」、「起立性調節障害」あたりはどれもほぼ同じくらいだと読み取れます。
「発達障害」、「自律神経失調症」、「うつ病」に比べると、10分の1以下の関心しか示されておらず、たぶん知名度的にもそれくらいなのでしょう。
「脳脊髄液減少症」、「化学物質過敏症」、「副腎疲労」あたりはさらに関心が低く、「マヌルネコ」(動物)と同じくらいの頻度でしか検索されていません。「セイタカアワダチソウ」(植物)や「スベスベマンジュウガニ」(甲殻類)をわずかに上回る程度です。
もっと深刻なのは、「概日リズム睡眠障害」や「睡眠相後退症候群」です。「ウロコフネタマガイ」(貝)や「オオカバマダラ」(蝶)といったマニアックな動物と同じほどマニアックです。
「筋痛性脳脊髄炎」や「若年性線維筋痛症」、「小児慢性疲労症候群」は、「わさびアイス」(変な食べ物)や「ハダカカメガイ」(クリオネの和名)と同レベルで、世間の人にとってはどうでもいいようです。
個人的な感想としては、あまり知られていないと言われる「慢性疲労症候群」よりも、「概日リズム睡眠障害」の圧倒的な知名度の低さのほうが気になりました。道理で情報が全然ないわけです。
あまりに数値が低いものは、知名度が広がらない理由があるのではないかと思います。たとえば「電磁波過敏症」は患者がインターネットを使えない、「睡眠相後退症候群」は、そもそも病気ではなく、意志の弱さとみなされている、といった理由です。
「小児慢性疲労症候群」や「若年性線維筋痛症」については、存在しないも同じレベルになっているので、このブログではしっかりと情報発信できたら、と改めて思いました。