いつも疲れていて疲れが取れない、朝起きるのが辛い、頭に霧がかかったような感じ。その原因はアドレナル・ファティーグ(副腎疲労症候群)かもしれません。
前回のエントリでは、アドレナル・ファティーグに対処する食事療法とサプリメントをまとめました。
この最後のエントリではアドレナル・ファティーグを治療するための食事療法以外のヒントについて書きたいと思います。情報は書籍医者も知らないアドレナル・ファティーグ―疲労ストレスは撃退できる!にもとづいています。
考え方を変えるためのアドバイス
ライフスタイルを変えることには、実生活におけるストレスの認知の仕方を変えることも含まれます。
エネルギー泥棒をつきとめる
紙を一枚用意し、日付を書き、上の欄に「わたしにとって良いもの」、下の欄に「わたしにとって悪いもの」と書きます。(p118)
良いものの欄には、自分の健康や幸福に寄与しているものすべて、生活習慣や友だちや趣味などをすべて書きます。悪いものの欄には、不利益と思えるものをすべて書きます。同じものごとに良い面と悪い面が含まれる場合は分けて記述します。
どのようなものに関わるとつかれるか、どのような人といると疲れるかを洗い出すことができれば、それがエネルギー泥棒です。それらは意識して避けることが必要です。
リフレーミング
このブログでも紹介した神経言語プログラミング(NLP)の手法のひとつ、リフレーミング(違う枠組みで見る)が紹介されています。(p128)
ポジティブ・シンキングではなくリフレーミングをしよう |
これは、ちょうどだまし絵のように、想像力を働かせて別の視点から見ることにより、物事の別の側面か明らかになるというものです。
自分の反応を変えれば、自分が状況をコントロールできる。そして、変化させたい、あるいは和らげたい反応をひとつずつ選んで、自分が被害者でなくなるよう取り組むとよい。言い換えれば、目の前で起きていることを障害と考えるのではなく、チャンスと捉えるのである。(p131)
リフレーミングを実践するには具体的に次のような手法があります。(p132-136)
■否定的な心のつぶやきを書き留める
自分の否定的な考えをかきとめ、数日経ってから、別の見方がないか考えてみる。そして見方を変えるだけでなく、それにしたがって実際に行動してみる。
■別の人のようにふるまう
たとえば、毎朝仕事にいくとき、自分は億万長者で働く必要はないが、趣味で仕事しているのだと考えてみる。前の車がのろのろして怒りを感じたら、前の車に乗っているのは子どものころわくわくする話をしてくれた大好きなおばさんだと考えてみる。イメージを駆使して状況を楽しむ。
■煙と消える
小さな紙とマッチ、不燃性の容器を用意する。不満や悩みを書き記したら、火でもやし、完全になくなるのをじっと見つめる。
リラックスするためのアドバイス
1960年代後半、ハーバード・ベンソンという心臓専門医が、瞑想中に起こる体の生理的反応を調べ、リラクゼーション反応と名づけました。副交感神経が優位となり、脳からはα波が発生します。リラクゼーション反応を起こす練習として以下のものが提案されています。(p136-141)
■腹式呼吸
■呼吸の速度を落とす
■吐く息を数える
■自分にとって心が落ち着く言葉やフレーズを繰り返す
■全身の各部分に順番に力を入れ、次いで脱力する漸進的筋弛緩法
■静かな池を定期的に思い浮かべる
リラックスには笑いも大切です。
笑いと治癒力 (岩波現代文庫―社会)の著者ノーマン・カズンズは、強直性脊椎炎にかかりましたが、ビタミンCをとることに加え、自分が笑う可能性のあらゆることをしました。面白い映画を見たり、ユーモアのある本やマンガなど、ありとあらゆるもので笑いを誘った結果、健康になったといいます。
睡眠と運動のアドバイス
睡眠と運動については次のようにアドバイスされています。(p142-147、149-153)
■午後11時に元気が復活する前にベッドに入る
■午前7時から9時までの睡眠には不思議なほど回復力があるので、可能ならゆっくり寝る。
■午前1-3時に目が覚めるなら、夜間に血糖値を保てていないのかもしれない。就寝前にたんぱく質や未精製の炭水化物でちょっとした軽食をとるとよい。
■夜目が覚めた時に検査をしてコルチゾールが高ければ、寝る前にリラクゼーションする
■逆に低いようなら、寝る前に運動する。
■日中十分に運動する。運動は楽しいものであることが大切
■コーヒーやカフェイン、チョコレートは刺激剤となるので避ける
■夜の光を避ける
■メラトニン(0.3-1.3mg)を就寝30分前に飲む
■寝る前にクエン酸カルシウム(50mg)、5-ヒドロキシトリプトファンを一緒にとるとリラックスできる。
■就寝30分前に副腎エキスや視床下部エキスを服用する
■ハーブのうち、ホップ、イヌハッカの葉、カノコソウの根、甘草の根、アシュワガンダなども役立つ
副腎疲労症候群の対処法のまとめ
ここまで、アドレナル・ファティーグの治療に役立つさまざまなアドバイスを見てきました。それらは食事、睡眠、運動、認知の仕方など生活全般に及びます。
序文の中で、タホマクリニック医長ジョナサン・V・ライトはこう述べています。
もし、この本を読んであなたがアドレナル・ファティーグに苦しんでいるとわかった場合、回復するためにはあなた自身が努力をしなくてはいけません。ウィルソン博士の説明にもあるように、生活習慣を変え、食生活も変える(時には大きく変える)必要があります。
ビタミン、ミネラル、ハーブを摂取し、自分自身の状態の把握のために検査を受け、多くの行動が必要となります。時には「物事の受け止めかた」や人間関係さえも、調整が必要となるでしょう。
知識のある医師からの助言、指導は受けられますが、それを行うかどうかは、自分自身にかかっています。しかし、努力する価値はあります。アドレナル・ファティーグだったとしても、「プログラムに従って」治療することで、劇的に回復する可能性があるのです。(p20-21)
アドレナル・ファティーグから回復するには短くて3ヶ月かかり、最長で2年かかるそうです。少なくとも3週間は効果が現れません。
そのため、良い変化があっても見過ごされがちです。微妙な改善を実感するため、日誌をつけることが推奨されています。
わたし自身は、アドレナル・ファティーグと診断されたわけではありませんが、本書を読むことでいろいろな発見がありました。
アドレナル・ファティーグは、社会生活を営める慢性的な疲労にすぎない段階から、身動きできない重度の疲労に至るまで幅広く含む概念ですが、わたしの体調にも関わっていることは間違いないと思われます。副腎ホルモンの検査結果ではいつも低値であることがそれを裏付けています。
この本の大部分をしめる食事療法の情報は、これまでさまざまなローフードや食養についての本で読んだ内容と似通ったもので、自分の取り組み方が正しかったこともわかりました。
わたしのCFSが生活習慣の改善だけで治るとは思えませんが、食事や運動などのライフスタイルを正さなければ治らないこともまた真実なので、この本のアドバイスをまじめに実践していきたいと思います。
最後に、ここまで取り上げたアドレナル・ファティーグのためのアドバイスを、すべきことと避けるべきことの二つに大別してまとめます。
すべきこと(p269-270)
■午後10時前にベッドに入る
■可能なときには、いつでも、朝9時まで寝る
■笑わせてくれるものを探す
■エネルギー泥棒を見つけて排除する
■自分の生活習慣を治療的な生活習慣にする
■毎日何か楽しいことをする
■人生を楽しんでいないときにはいつでも、「自分にできる3つのこと」のセクションに戻り、何か行動を起こす。(自分にできる3つのこと。(1)状況を変えることができる。(2)状況に合わせて自分を変えることができる。(3)状況から離れることができる)
■毎日、感謝の気持ちを抱く小さな日常的なことに最低1つ気づくようにする
■規則的に栄養サプリメントをとる
■体を動かし、深く息をする
■自分の回復能力を信じる
■心を強力な癒やしの道具として用いる
■日誌をつけるー自分の経験を毎日書き留める
■体が必要とするものを食べる
■調子の悪くなる食品を知るためにリストをつくる
■本書を必要なだけ読み返す
■コップ1杯の水に小さじ半分から1杯の塩を入れてかき混ぜて飲む。朝に試す
■食べものに塩を加える
■果物をとるなら、その前か後に塩気のあるものを食べ。努めてよくかむ
■毎食時、でんぷん質の炭水化物、たんぱく質、脂肪を組み合わせる
■自然食品を豊富に食べる
■有色野菜をたくさん食べる
■自分の健康に関する力と責任を自分の手中に収める
■回復を楽しむ
■毎日午後2時ごろに軽食と一緒に1000mgのビタミンC複合体を200gのマグネシウムとパントテン酸と一緒にとり、午後3-4時に低エネルギー状態に陥るのを避けるようにする
避けるべきもの(p271-272)
■疲れきること
■カフェイン、砂糖、アルコール、精白粉製品
■午後11時を過ぎて遅くまで起きていること
■無理すること
■エネルギー泥棒
■自分に厳しくしたり否定的になったりすること
■自分を哀れむこと
■中毒になっている食品
■アレルギーや過敏症の疑いのある食品
■気分がわるくなったり、思考を鈍らせたり。何らかの方法で健康が衰える食品
■朝食を抜くこと
■でんぷん質の炭水化物(パンやパスタ)をそれだけで食べること
■どれだけおいしくても、強い欲求を感じても、何らかの悪影響を及ぼす食品
以上で、副腎疲労症候群についての解説は終わりです。これらのアドバイスを実践するなら、きっと自分の健康を向上させることができるでしょう。
著者は本書のおわりにこう述べています。
しかし、アドレナル・ファティーグを患っていても、我々の体は、素晴らしく、美しく、驚くほど賢明である。
変わらなければならないのは、我々の社会や、現代生活のストレスへの不適応、そして低下した判断力である。
社会を変えることは難しいかもしれないが、自分の体を大切にし、ストレスに対して健康的に反応することに関しては、もっと的確に判断する方法を習得することができる。(p341)
▼アドレナル・ファティーグについてもっと知りたいなら
副腎疲労症候群に関する書籍には次のようなものがあります。
ネット上で副腎疲労症候群について知りたい場合、次のサイトが参考になります。治療できる病院へのリンクもありますが、Googleで検索すると、それ以外にもさまざまな病院で治療しているようです。
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