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【9/9】非24時間型睡眠覚醒症候群(フリーラン型)に関係する遺伝子が見つかる

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日リズム睡眠障害(睡眠相後退型やフリーラン型)の研究で有名な、国立精神神経センターの三島和夫先生たちの研究グループの新しい研究成果が発表されていました。

アミノ酸置換を伴う時計遺伝子PER3の違いが概日リズム睡眠障害の発症や夜型指向性にも関連していることが明らかになったそうです。

プレスリリース詳細 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター
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睡眠・覚醒リズム異常に関連する遺伝子が明らかに | サイエンス - 財経新聞

健常者の夜型とフリーラン型に同じ遺伝子多型

睡眠相後退型182名・フリーラン型67名の概日リズム睡眠障害患者と、健常者925名(朝型245名、標準型594名、夜型86名)を対象に、7種類の時計遺伝子多型を調べたところ、夜型経験者とフリーラン型患者にはPER3遺伝子多型rs228697のマイナーアリルGが有意に多いことが分かったそうです。

これまでの研究によりいくつかの時計遺伝子の多型が朝型夜型や睡眠相後退型と関連することが報告されていますが、フリーラン型に関する報告はなかったそうです。

時計遺伝子PER3は、わたしたちの睡眠習慣の個人差やフリーラン型の発症メカニズムを解明する際の有力なターゲットになると期待されています。

それぞれの数値は以下のようになっていました。

マイナーアリルGの頻度
全体  0.079
健常者・朝型  0.051(少ない)
健常者・標準型  0.085
健常者・夜型  0.116(多い)
睡眠相後退型  0.082
フリーラン型(非24時間型)  0.142(特に多い)

この表を見ると、健常者の朝型と、フリーラン型はまさに対極に位置することがわかります。また、健常者の標準型と睡眠相後退型では数値が変わらないこともわかります。健常者の夜型と、フリーラン型では、どちらも数値が高いですが、フリーラン型のほうがより高くなっています。

このことからわかるのは、健常者の夜型と、フリーラン型(非24時間型)には同じ遺伝子多型が多く認められるのに、睡眠相後退型ではそれが多くなかった、ということでしょうか。

個人的な推測に過ぎませんが、睡眠相後退型は、夜のスマートフォンの使用など、環境要因(外的要因)によって、だれにでも起こりやすい生活習慣の問題なのかもしれません。それに対して、生来の夜型は遺伝子多型という内的要因によるもので、その特にひどいのが、フリーラン型(非24時間型)なのかもしれません。

概日リズム睡眠障害についての解説

この記事には概日リズム睡眠障害についての解説も含まれています。概日リズム睡眠障害についての情報は、とても少ないので、ありがたいと思います。

まず、概日リズム睡眠障害には6種類の亜型がある、と書かれていますが、よくわかりません。

睡眠相後退型(睡眠相後退症候群;DSPS、DSPT)、睡眠相前進症候群(ASPS)、フリーラン型(非24時間型睡眠覚醒症候群)、不規則型睡眠覚醒症候群、に加えて、文中に概日リズム睡眠障害の一種として挙げられているシフトワークと、時差ボケを含めれば6つになりますが…それで合っているのかな?

それぞれの概日リズム睡眠障害についてはこう説明されています。

睡眠相後退型(DSPT、DSPS)

睡眠相後退型では明け方にようやく寝ついて昼頃に目を覚まします(極端な夜型、昼夜逆転)。一般人口での有病率は約0.4〜1.7%、慢性不眠のある方の7〜10%が該当すると推定されています。

フリーラン型(非24時間型、Non-24)

フリーラン型では睡眠時間帯が毎日徐々に遅れてしまいます。一般人口での有病率は不明ですが、全盲者の約20%、弱視者の約10%で認められます。視覚障害のない方では稀ですが、睡眠障害外来では決して珍しくない疾患です。全米では10万人ほどが罹患しているとされ、日本の人口に換算すると4万人強の患者さんがいると推定されます。

それぞり患者数の推計が記されていて参考になります。

そして注目すべき点として、概日リズム睡眠障害について次のような記述もあります。

睡眠相後退型やフリーラン型は主に思春期に発症します。修学やキャリア形成の大切な時期に登校や出勤ができず、休学や退職を余儀なくされることも少なくなく、大変深刻な転帰を辿ることが多い疾患です。

この点は、先日NHKで放送された、小児慢性疲労症候群(CCFS)と概日リズム睡眠障害の特集にも通じるものがあると思います。おそらく、両者は同じような患者について扱っていると思います。

【まとめ】リハビリケア新時代 脳からの挑戦3 子どもの脳からのSOS(小児慢性疲労症候群)| いつも空が見えるから

 

概日リズム睡眠障害が思春期に発症しやすいことを考えると、子どもの慢性疲労症候群が、大人の慢性疲労症候群と比べて、睡眠障害と結びつけられやすい点も理解できるように思います。

小児慢性疲労症候群で、睡眠相後退型の子どもは光療法などで治りやすいのに対し、フリーラン型の子どもは治りにくい、というのも、今回の研究成果と関連しているのかもしれませんね。

記述にあるように、これらの疾患は「大変深刻な転帰を辿る」ので、早く実態が解明されてほしいです。

概日リズム睡眠障害について詳しくは、このブログの以下の記事をご覧ください。

夜眠れず朝起きられない「睡眠相後退症候群(DSPS)」にどう対処するか(1)DSPSとは| いつも空が見えるから

 

慢性疲労につながる「非24時間型睡眠覚醒症候群(non-24)」にどう対処するか (1)non-24とは| いつも空が見えるから

 

子どもの慢性疲労症候群(CCFS)とは (1)どんな病気か?| いつも空が見えるから

 

三島和夫先生らの研究成果は以下の本にも書かれています。このブログでも書評を書いています。


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