パーキンソン病に対するグルタチオン点滴療法のニュース記事がありました。グルタチオン点滴は、慢性疲労症候群や線維筋痛症、化学物質過敏症にも用いられるという話を時おり見聞きしますので、どのような治療法なのか調べてみました。
グルタチオンとは
グルタチオン(Glutathione, GSH, Glutathione-SH)は、グルタミン酸、システイン、グリシンという3つのアミノ酸からなるトリペプチドです。
人間の体内では、皮膚や肝臓、目の水晶体や角膜などに多く含まれ、加齢や紫外線によって減少しやすいそうです。
食物では、レバー、小麦胚芽、パン酵母、キウイ、アボカドなどに含まれているそうです。
グルタチオンの働き
グルタチオンには大きく分けて2つの働きがあります。
(1)抗酸化作用
グルタチオンは抗酸化物質です。
呼吸によって体内に取り込まれた酸素は活性酸素となり、脂質やタンパク質を酸化させ、体にダメージを与えます。これを酸化ストレスといいます。酸化ストレスは、疲労や老化の一因と言われています。
わたしたちの体には、これに対抗する抗酸化物質としてチオールが細胞内に備わっていますが、グルタチオンにもチオール基があり、活性酸素種や、過酸化物など、酸化ストレスの原因を還元し、無力化することができます。
(2)化学物質などの解毒作用
グルタチオンには、グルタチオン抱合という機能があります。グルタチオン抱合とは、チオール基をさまざまな毒物や抗生物質などの薬物、有害な化学物質、重金属などに結合させ、排出させるという役割です。一般に解毒(デトックス)効果と言われたりします。
グルタチオンの医療利用
グルタチオンは、グルタチオン大量点滴療法などの方法で、医療目的で利用されることもあります。特に、分子整合栄養医学に基づいたオーソモレキュラー療法(栄養療法)を行っている個人クリニックで、実施されていることが多いようです。
前述のとおり、パーキンソン病の治療法のひとつとして注目されていますし、化学物質過敏症の解毒や、線維筋痛症の疼痛緩和、慢性疲労症候群の改善、多発性硬化症の神経症状の緩和、肝障害の治療、抗がん剤の副作用への対処、そしてアンチエイジングなどにも用いられているようです。
その際は、国内製剤は保存料が含まれているという理由で、外国のものを利用しているところもあるようです。
今回のニュース記事に出てきた71歳のパーキンソン病の方は、週2回、点滴に通った結果、ももの震えが止まり、字もきれいに書けるようになったといいます。
パーキンソン病患者の脳でグルタチオンが減少しているという研究があるそうで、医師・歯科医師の研究会でアンケートを実施したところ、約6割の患者に有効だったとされています。
各医療機関のサイトを見てみると、劇的に効果のある場合と、まったく効かない場合があるとされています。グルタチオン療法は、南フロリダ大学でパーキンソン病に対する臨床研究が行われているという話もありました。
グルタチオンは日本では肝臓病など、一部の病気には適応があるものの、パーキンソン病治療薬としては健康保険が適用されておらず、病院によって1回5千円から2万円かかるそうです。
よって、この療法を試す場合は、自己負担も大きくなりますが、さまざまな情報を読んで納得できた場合は、治療に取り入れてみるのもいいかもしれません。