ネグレクトによる愛着障害の問題についてのニュースがありました。記事タイトルは「発達障害」となっていますが、広義における「第四の発達障害」にあたるものであり、先天的な発達障害とは異なる反応性愛着障害の領域の話だと思います。
記事によると、ネグレクト(養育放棄)が深刻な養護施設にいた2歳前後の子どもが、暖かい里親家庭に引き取られると、6年後には脳の発達が普通の家庭に育った子どもと差の無いレベルになる、と書かれています。
ルーマニアの米Boston小児病院のJohanna Bick氏らによるでランダム化比較試験では、首都ブカレストの児童養護施設に注目しました。そこでは、職員数が少ないため、子どもは日常的にネグレクトを受けています。その結果、子どもの大脳白質全体の統合性に異常が見られるようになり、特に認知と情緒を制御する領域の異常が顕著になっていることがわかりました。
施設で養育を受けている2歳前後の子ども136人のうち、うち里親に預けられた68人と、そのまま施設で暮らした68人を8歳になった時点で比較したところ、幼少期にネグレクトを受けた子どもでは、白質の18の測定値に異常が見られ、微細構造の統合性に影響が及んでいました。しかし、2歳前後から里親の元で養育された子どもでは、ほとんど健常な子どもと変わりませんでした。
今回の研究はこれまで愛着障害に関して言われていたことと一致するようです。愛着の形成は3歳ごろまでに行われ、その間に特別な対象と愛着を結べた子どもは正常に発達しますが、その間にネグレクトや虐待を受けた子どもは反応性愛着障害になってしまうという事実です。
痛ましいことですが、先天的な発達障害と違い、こちらは改善できる可能性があるので、対応する社会の仕組みが発展してほしいと思います。
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