少し前のニュースで大々的に報道されたのでご存じの方も多いと思いますが…
アメリカの国立衛生研究所と慶應大学などのグループによると、アトピー性皮膚炎は、皮膚の表面で複数の細菌が異常に増えることで起きるということが解明されたそうです。
▼関連ニュース
アトピー発症、一部の細菌増殖が一因 慶大など解明 :日本経済新聞
アトピー、皮膚表面の細菌の偏り原因…慶大など : 科学 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
時事ドットコム:黄色ブドウ球菌対策が有効か=アトピー性皮膚炎-慶大など
アトピー、特定の菌増え炎症 マウスで慶応大チーム:社会:中日新聞(CHUNICHI Web)
アトピー性皮膚炎は他のアレルギー疾患を合併することがあり、血液検査で強い抗体が検出されることから、アレルギーが原因だと考えられてきました。
しかし、アトピー性皮膚炎がひどくなると皮膚表面の細菌の種類が減少し、ほとんど黄色ブドウ球菌だけになることが分かっていて、今回の研究はそれを掘り下げたものです。
アトピー性皮膚炎のマウスを調べたところ、症状が出てくるのと同時に「黄色ブドウ球菌」と「C・bovis」(コリネバクテリウム)という2種類の細菌が異常に増えてくるのがわかりました。
抗生物質を投与して細菌を減らすと、アトピー性皮膚炎を発症しなくなり、抗生物質の投与を止める再発したそうです。
黄色ブドウ球菌は、最も強い皮膚の炎症を誘導し、C・bovisはIgE抗体の上昇をもたらす免疫反応を誘導しているそうです。
このことからアトピーの原因は、乾燥などの環境や体質をきっかけに、皮膚の表面で細菌が異常に増殖することで起きると説明されています。
ということは、抗生物質でアトピー性皮膚炎が治る?という期待を抱かせますが、腸内細菌への悪影響もあるため、正常な細菌巣を誘導するほかの方法の検討が必要だとされています。
抗生物質の使用に関しては、耐性菌が増加しているという問題もあり、安易な長期間処方はできないのかもしれません。
個人的な話になりますが、一昨年、鼻の内部に皮膚炎のような潰瘍が生じて、半年から1年ほど、痛みに苦しんでいました。耳鼻科に行ったのですが、一般に処方される軟膏を使っても治らず、耐性菌の検査をすることになりました。
すると、MRSA、つまり「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」が繁殖していることがわかりました。これ自体は、大して問題のないことで、健康な人でもMRSAを持っている人は大勢いますが、何かの症状が起こることはありません。
しかし、先生の気転で、あまり処方されることのないMRSA用の軟膏バクトロバンを処方してもらうことができました。たとえば手術前の医療関係者や患者が、手術による感染を防止するために使ったりするようです。
それを塗ってみると、驚くことに2日で、鼻の内部の皮膚炎がきれいさっぱり治ってしまいました。あれだけ長い間、鼻をかむこともできない痛みに苦しめられたのに。
なぜこうなったのかはよくわかりませんが、普通症状も出ないようなMRSAのせいで、炎症が生じていたというのは、CFS患者特有の免疫力低下のせいかもしれないと主治医は話していました。
こうした経験を思うと、細菌によって、痛みを伴う皮膚炎が生じることは十分考えられるし、抗生物質で良くなることもあるのだろうなあ、と思い、この記事を書いてみた次第です。