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重い荷物を持ち上げて発症した脳脊髄液減少症に生食パッチが効いた例

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本ペインクリニック学会誌vol22(2015)に、ストレッチ動作後に生じた脳脊髄液減少症に対する硬膜外腔への生理食塩液持続投与の効果という症例が載せられていたようです。PDFで確認できます。

筑波大学附属病院の医師らによる症例報告です。

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患者は生来健康な26歳の女性で、職業はキャビンアテンダントだったそうです。

勤務中に乗客の重い荷物を、全身の力で頭上の棚に持ち上げ、その夜から強い頭痛と嘔気が生じるようになりました。症状は立っていると悪化し、横になると改善しました。

脊髄造影CTで髄液の漏出が認められ,脳脊髄液減少症と診断されたそうです。合併症が多いと考えられる硬膜外自家血注入(ブラッドパッチ)を行わず、硬膜外生理食塩液持続注入(生食パッチ)を行って治療したと書かれています。

■重い荷物を持ち上げるときのいきみで発症
重い荷物を持ち上げるときのいきみで脳脊髄液減少症が生じることは以前から知られていたそうです。この例では、もともと患者が硬膜などの脊髄支持組織の脆弱性を持っていて、重い荷物を持ち上げたあとの勤務中の気圧変化で悪化したのではないかと推測されています。

■合併症の少ない生食パッチを選択
硬膜外自家血注入法は,最も広く知られた治療法であるものの、合併症や癒着の問題があり、特に複数回行った場合は合併症の可能性が高くなるそうです。

それに対し、生理食塩水を用いた方法は、自然治癒を期待するため短期間での治癒は自家血注入法に劣るものの、合併症が少ないので、こちらを始めに行って、効果が乏しい場合に自家血注入を検討するとよいかもしれないとされています。

生食パッチについては、山王病院の高橋浩一先生のブログに詳しく書かれていました。

生食パッチ - Dr.高橋浩一のブログ

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