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ADHDの子どもは脳の報酬系が定型発達者と異なる? 強弱が不安定な可能性

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ADHDの子どもは脳の前帯状回や腹側線条体という、報酬系に関わる部分の活動が、定型発達者よりも強いというニュースがありました。

ADHDの子の脳では何が起こっているのか - MEDLEYニュース

このニュースでは、ADHDの人、その兄弟姉妹、定型発達者の脳の働きを比較したそうですが、それによって、次にのようなことがわかったそうです。

■「報酬に対する期待」を持っているときには、前帯状回、前前頭葉、小脳などでより強い活性化が見られた。
■「報酬を獲得」する際には、前頭葉眼窩回や腹側線条体、後頭葉などでより強い活性化が見られた。

これらは定型発達者より働きが強く、より報酬系が強く働いていると考えられるそうです。

ADHDの子どもは報酬系が不安定?

以前にこのブログで取り上げた研究によると、ADHDは報酬系の働きが弱い、ということになっていました。

ADHDの子どもは慢性疲労症候群になりやすい? | いつも空が見えるから
【9/13】ADHDの子どもの報酬系の異常が投薬で改善 | いつも空が見えるから

こちらの研究では、少ない報酬のもとで、脳の報酬系がうまく働かず、それが努力が長続きしない原因となっている、ということでした。ご褒美が少ないとうまく集中できないのです。

この研究結果は、一見して今回の研究結果と矛盾しているように思います。かたや報酬系が強いと述べていて、かたや弱いと述べているからです。しかし、よくよく考えると、どちらも、脳の報酬系が定型発達者と違う、という意味では一致しています。

とすると、(わたしは専門家でないのであくまで推測ですが)ある状況下では、脳の報酬系が定型発達者より強く働き、別の状況下では弱くなってしまう、という強弱の不安定さがあるのかもしれません。そのことは、下記のニュースを見るとなんとなくわかります。

大人のADHDと「報酬遅延勾配」の話 - 上手に悩むとラクになる - アピタル(医療・健康)

ADHDの人は報酬遅延勾配が定型発達者より急だと書かれています。

つまり、目先の報酬は非常に大きく見えて報酬系が敏感に反応し、将来の報酬は小さく見えすぎて報酬系が働かないという、状況によって報酬系の働きに強弱の不安定さが出る可能性を示唆しています。

アリとキリギリスでいえば、かなりキリギリス寄りの反応を示してしまうのかもしれません。

前に考えた点と関連させると、未来に自分を投影するのが苦手なので、現在に近い部分の報酬を重視し、遠い将来の報酬はイメージできず、関心を寄せることができないのかもしれません。

今回挙げた2つの研究の報酬は、どのようなものを想定して使用したのかよくわかりませんが、どちらも矛盾しているものではなく、報酬の時期や程度によって、報酬系が過敏に反応したり、かえって反応しにくかったりする可能性を示していると考えれば納得がいきます。

逆の観点からいうと、目先の報酬に飛びつく傾向があるのなら、そちらをうまく利用してこまめな報酬を用意することで行動改善のアプローチもできそうです。もちろん、コンサータで報酬系が改善したという報告もあるので、薬物治療で努力を長続きさせるというのも一つの選択肢です。

ADHDを改善・予防する運動とプロバイオティクス

そのほか、最近のニュースでは運動やプロバイオティクスがADHDの症状を改善・予防するという報告がありました。

新生児黄疸が出た子はADHDが多かった - MEDLEYニュース

乳児期に新生児黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状、赤血球が破壊されてビリルビンが増加することによる)が出ると、ADHDの発症率が2.48倍になっていたそうです。

子ども時代の運動量がADHDの不注意・多動性の症状にプラスとなる? - MEDLEYニュース

16歳から17歳で多く運動していると、19歳から20歳でADHDの症状が比較的軽く、思春期の運動がADHDを改善することがわかったそうです。

プロバイオティクスが子どものADHDを予防するかもしれない、13年間の追跡調査 | Medエッジ

こちらは予防に関してですが、生後6ヶ月までにプロバイオティクスを服用していると、13歳時点でのADHD、アスペルガーの可能性が減っているというものです。プロバイオティクスは腸内細菌を整えるサプリメントです。

ADHDまたはアスペルガー症候群と診断された子どもは、生後6カ月までの便中のビフィズス菌数が健康な子どもの10分の1近くしかなかったとも書かれています。

ADHDが発症してしまった後の症状改善に効くのかどうかはわかりませんが、ADHDには食事療法も大切だと言われるので試してみてもいいかもしれません。

ADHDの脳機能のバランスの悪さは、個々人が工夫してうまく対処していくしかありませんが、もし改善・予防できる手段があるなら積極的に取り組んでいきたいですね。


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