子どもの注意欠如多動症(ADHD)および自閉スペクトラム症(ASD)の症状のレベルと、親の心理的状態が関係しているという研究結果が出ていました。
発達障害には遺伝的要素が大きいのは事実ですが、親の態度という環境要因も症状を和らげる上で大切だといえるようです。
はじめの研究では、母親の自尊心が高い親子では、子どものADHDの症状のうち、注意欠如行動が少ない傾向があったとされています。
後者では、ASDの子どもの社会性が改善している場合に,両親の共感指数も向上していて、子どもの社会性が低下している場合には、両親の共感指数も低下していることが示されました。
もちろん、これらの研究は、以前言われていたような「冷蔵庫マザー説」、発達障害の子どもの親は愛情が少ないといった荒唐無稽な話を裏づけるものではありません。
むしろ、たとえば障害のある子どもを持つ家庭の場合、両親の自尊心や共感性が子どもを支え、過ごしやすくするように、ADHDやASDの子どもの場合でも、親の態度が影響する、という当たり前のことを述べている気がします。
ADHDやASDの子どもが、まったく親の働きかけに反応せず、どうにもならないロボットのようなものなのではなく、親の自尊心に応じて愛着を向けたり、共感性に応じて不自由なりとも反応してくれるのだ、という励みになる点を示した研究なのではないかと思います。
また、ADHDやASDの子どもを持つ家族への援助も大切である、ということを示しているのではないでしょうか。
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