自治医科大の門田行史講師らの研究によると、脳血流を測定すればADHDを8割の精度で判別できるそうです。
ADHDの原因の一つは、行動を制御するのに使われる、脳の前頭前野の血流不足だと言われています。
実験では、ADHDの子ども30人、定型発達の子ども30人に、指定された画像が現れた時だけスイッチを押すゲームをさせました。
脳の血流に起きる変化を光トポグラフィーで測定すると、定型発達の子どもはゲームをした時に前頭前野の血流が増えるのに対して、ADHDの子の80%はほとんど変化がなかったそうです。
現時点では80%の精度ということで物足りない印象がありますが、精度が上がれば診断補助ツールにもなりうるとのこと。
この研究チームは昨年も、薬を服用するADHDの子供ら約50人に、同じ実験をしたところ、光トポグラフィーの測定で、脳の前頭前野や頭頂葉で血流が増えていることがわかり、薬の効果が確認できた、ということを発表していました。
光トポグラフィー(NIRS)とは、、身体に害のない近赤外光を使用して脳の血流量の変化パターンを可視化する装置です。すでにうつ病、躁うつ病、統合失調症を見分けるのに使われています。
ADHDを脳画像で診断する、というのは、すでに10年以上前から、アメリカのダニエル・エイメン先生らが試みていることですが、ようやく時代が追いついてきたのかもしれませんね。
脳血流に明らかな違いがあるという事実は、ADHDがときには医療介入が必要な現実の問題であることを如実に物語っています。