以前から、抗がん剤のリツキシマブが慢性疲労症候群(CFS)に効果があるとしてノルウェーで研究されているという情報がありましたが、最近の進展に関するニュースが翻訳されていました。
リツキシマブでCFSが長期間緩解
CFSの症状がある29人を含む最新の研究では、リツキシマブを繰り返し投与したところ、リツキシマブの服用開始から4~6カ月後に緩解し始め、対象患者18人のうち11人は、3年たってもまだ緩解期で、一部は5年後の今でも症状が出ていないそうです。
この成果からすると、CFS患者の少なくとも一部は、(感染症などが原因で)、体内に破壊的な自己抗体が生じることが原因なのかもしれないと書かれています。
現在、対照群を伴う150人規模の研究が進行中だそうです。
詳しい体験談は元記事をご覧ください。
日本でも用いられている抗がん剤
リツキシマブは、日本ではリツキサンという名前で、抗がん剤として使用されています。
今のところ適応があるのは悪性リンパ腫で、2013年1月には、自己免疫性疾患である「発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症;GPA)」と「顕微鏡的多発血管炎(MPA)」(いずれもANCA関連血管炎)、2014年8月には、腎臓の病気である「難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)」に対しても効能が追加されたそうです。
こうした異なる分野の薬が慢性疲労症候群に効果があることが発見されたのは意外に思えます。そもそも、ノルウェーでリツキシマブが注目されたのは、がん治療を受けたCFS患者の改善したという偶然からでした。
今回の記事では、アメリカの専門医のナンシー・クリマス(Nancy Klimas)氏などもノルウェーの研究に注目していると書かれているので、治験の結果によっては各国も動くのかもしれません。続報が気になります。
リツキシマブの慢性疲労症候群に対する効果については、戸田克広先生のブログでも、以前に紹介されていたのでリンクを貼っておきます。