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CFSを発症して10年の今日に―このブログのまとめ―

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性疲労症候群(CFS)を発症した日から、今日でぴったり10年です。まだ学校に通っていたころを昨日のことのように思い出します。苦しい10年、いろんなことがあった日々でした。月並みな表現ですが、早かった…と思います。

…こんなことを書くと、10年も経っても治らないのか…と他の人たちを失望させてしまうかもしれないと思いました。しかし、ここはわたしのブログですし、今日について書かないわけにはいきませんでした。

今日まで頑張ってブログを書いてきたことにはわけがありました。自分の病気がいったいどこから来たのか、そして何物なのかを知りたいと思ったのです。また、もし治る望みがあるなら治療法を見極めたいと思いました。

zlCfzRMKRpclAEqXsp.jpgこの記事ではその結果わかったことを書いて、このブログのひとまずのまとめとしたいと思います。

お時間のある方はあったかいホットチョコレートでも飲みながらお付き合いください。

結局原因は何だったのか

まず、わたしの病気について、これまで判明したことを簡単にまとめたいと思います。

1.慢性疲労症候群(CFS)と呼ばれるまで

ある日突然、からだから力が消失し、思考力が崩壊し、訳もわからないまま動けなくなりました。

やっとの思いで病院に行って、MRIまで撮ったのに何の異常もなく、精神科に回され、「うつ状態?」というあいまいな診断名がつけられただけ。

3年半後にたどり着いた名前が慢性疲労症候群(CFS)でした。その経緯については以前の記事に書きました。

不登校はみな同じ対策か不登校はみな同じ対策か

しかしCFSにもどうやらいろいろあることがわかってきました。主治医によると、わたしのCFSは、睡眠相後退症候群(のちにNon-24だとわかる)を伴っているタイプだとわかりました。

それから歳月が経ち、ここ数年、ようやく本が読めるようになってきました。はじめて三池先生の本を読み、わたしのCFSは「学校過労死」と呼ばれる一連の症状にとても近いかたちで発症したことを知りました。

小児CFSの本「学校過労死―不登校状態の子供の身体には何が起こっているか」(上)小児CFSの本「学校過労死―不登校状態の子供の身体には何が起こっているか」(上)

2.さらに深い根がある

でも、主治医が言うには、典型的な小児慢性疲労症候群(CCFS)にしては治りにくすぎるので、別の要因もからんでいるはずだ、とのことでした。小児CFSの15%は回復せず、引きこもりを続けざるを得ないのですが、それに近いということです。

原因は何なのでしょうか。感染後CFSの場合、症状が重くなりやすいそうですが、どうやらそうではありません。それ以外では、発達障害がもともとある場合に症状が長引くといいます。

しかし主治医によると、わたしはASD(自閉症スペクトラム障害)ではないそうです。ASDを伴う小児CFSでは、自律神経の機能年齢が低く出るそうなのですが、先日の疲労度計の検査で出たように、わたしはとても高いからです。

疲労度計 体験してきたっ! 健康科学イノベーションセンターにて疲労度計 体験してきたっ! 健康科学イノベーションセンターにて

3.AD/HD?

もうひとつの発達障害はAD/HDです。AD/HDの人は慢性疲労症候群(CFS)になりやすいことを示唆する研究があります。

発達障害と似て非なる「愛着崩壊 子どもを愛せない大人たち」発達障害と似て非なる「愛着崩壊 子どもを愛せない大人たち」

わたしはAD/HDの不注意優勢型の傾向があります。

新しいものに目がなく、アイデアには困りません。学校でテスト中さえキョロキョロしていて怒られたことがよくあります。毎日が忘れ物との闘い。ランドセルやかばんを忘れて帰ったこともあります。

ミシンで手を縫いました。彫刻刀で手を彫りました。ビーカーを割りました。折りたたみナイフで親指をざっくり半分に切り分けかけて、そのときの怪我がもとで勉強が遅れ、CFS発症に至る無理をするきっかけになりました。

しかし… わたしの主治医はAD/HDにとても詳しい方なのですが、わたしは違うように見える、と常々言っています。似ているけれどどこか違う。これは愛着障害のほうではないかと。

4.愛着障害

AD/HDと脱抑制性愛着障害はとても似た症状を示します。それもそのはず、どちらも同じ遺伝子やドーパミン機能異常が関わっていると考えられています。 しかし愛着障害の場合は、特に生い立ちや家庭環境が関わっていると見られています。

虐待された子どもや、機能不全家庭で育った子どもの脳には、発達の問題が生じるのです。 わたしは虐待されたわけではありませんが、この話は思い当たるところがあるものでした。そして、以下の二冊の本を読んだとき、納得しました。

だれも知らなかった「いやされない傷 児童虐待と傷ついていく脳」(2011年新版)だれも知らなかった「いやされない傷 児童虐待と傷ついていく脳」(2011年新版)はてなブックマーク - だれも知らなかった「いやされない傷 児童虐待と傷ついていく脳」(2011年新版)
『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』を読んで『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』を読んで

もともと、わたしの脳機能には発達段階の偏りが見られ、脆弱なところがあったのだと思います。それがあのとき、学校過労死するほど無理をしたことで、回復が難しいダメージを負ってしまったと考えています。

それで、以前書いたCFSのタイプ分けに当てはめると、わたしのCFSは生体リズム異常+発達障害+心的・身体的トラウマに分類されるのかもしれません。

【保存版】慢性疲労症候群(CFS)のタイプ分け―20種類以上の原因【保存版】慢性疲労症候群(CFS)のタイプ分け―20種類以上の原因はてなブックマーク - 【保存版】慢性疲労症候群(CFS)のタイプ分け―20種類以上の原因

この話が完全に腑に落ちたわけではありませんが、現在の知識の範囲では最も納得できる説明に思えます。

これからどうやって治療するか

治療法もいろいろと探ってきましたが、わたしが続けていきたいと思ったことを書いておきます。あまりに平凡な内容なので拍子抜けするかもしれません。

1.健康的な食事を摂る

本格的な甲田療法は睡眠への影響が気になって頓挫してしまいました。しかし、食べものに気をつけることは、自己免疫やアレルギーについて考えた場合、欠かせない対策です。

健康な人と同じ食事をすると胃腸の不調も生じるので、玄米クリームを基本に据えることは変わりません。玄米クリームだけでは足りないと思える部分は、化学調味料・食品添加物の含まれていない健康的な食事を意識して摂ります。外食はしません。

反面、栄養療法や漢方薬、サプリメントの摂取については、どちらかというと今は否定的です。だいたい試してきましたが、効果が得られなかったのと、費用が高すぎるからです。効果のある人がいることも確かですが、わたしの場合はCFSの原因的に違う気がします。

還元型コエンザイムQ10は、効いているようにも思いますが、わたしを含め、ほとんどのCFSの友だちが効いている「ように思う」という感想だったので、ちょっとでも効果があればいいと思う程度です。

化学物質が引き起こす「免疫の反逆」化学物質が引き起こす「免疫の反逆」

2.段階的な運動を続ける

今最も期待している治療法がこれです。なんとかWii Fitができるようになって約半年。はじめは5分間だけでぐったりしていたのが、最近では30分近く運動できる日もあります。運動できるのがとても楽しいです。

今日、少し外にウォーキングに行きました。ほんの近くまでだったのに、それでもかなり疲れました。市大の主治医から、いつも「ウォーキングしなさい」と口を酸っぱくして言われているのにそれは続いたことがありません。

おそらく「続かない」ではなく「できない」のだと思います。たとえばわたしが朝起きられないのも「意志の力が弱い」せいではなく、病気のせいで「できない」のです。それと同じです。

その証拠として、わたしにできる範囲の運動であるWii Fitはしっかり続いています。この習慣を続けていけば、そのうちウォーキングもできるようになるのかもしれません。自分にとって続けることのできるレベルで、しかも楽しいものを見つけられたのは本当に幸運でした。

CFSに段階的運動療法が効果的だということは前から言われていますし、有酸素運動などで脳の萎縮が改善したという話まであるので、無理せず気持ちのよい運動を続ければ少しは回復するのではないかと楽しみにしています。

【11/4】脳の疾患に有酸素運動やダンスが効果的【11/4】脳の疾患に有酸素運動やダンスが効果的

3.睡眠の調整

これはわたしの病気の基本的な部分ですが、主治医が薬の調整をしてくれています。おそらくドーパミン系の障害だと思われるので、通常の睡眠障害とは違った処方です。ベンゾジアゼピン系は効かないので飲んでいません。

運動との相乗効果か、睡眠の質が良くなっている感じがするので、これからも主治医を信頼して、合う薬を見つけたいと思います。

慢性疲労につながる「非24時間型睡眠覚醒症候群(non-24)」にどう対処するか (1)non-24とは慢性疲労につながる「非24時間型睡眠覚醒症候群(non-24)」にどう対処するか (1)non-24とは

4.人生を優しい気持ちで楽しむ

『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』に書かれているように、慢性疲労症候群(CFS)は心身両面が関わる複雑な疾患だといえます。

「わたしには心の問題などない」と話す人の場合でも、いわゆる精神疾患とは違った意味で、ストレスを抱え込む考え方の癖や、偽りのポジティブ・シンキングがあるものです。この点は甲田先生の本にも書かれていました。

わたしの場合、慢性疲労症候群(CFS)のもとでも健康な人と同じように頑張りたいという強い気持ちがありました。だから、このブログのタイトルも、強気に構えて「疲労とたたかう ライフハック!!」になりました。

しかし、上記の本を読んだとき、じつはその強い気持ちこそが、自分を追い詰めている強迫観念であることを知りました。 わたしは病気のもとでも頑張っている自分を見せなければ、他の人に認めてもらえない、自分には価値がなくなる、と思い込んでいたのです。

わたしは価値観を変えることにしました。

そう簡単に変えられるものではありませんが、今は大好きなお絵かきを楽しみつつ、穏やかに暮らしています。以前はそんな自分を許せなかったのですが、ちょっとずつ許容していこうと思っています。

そうした意味では、もうこのブログも終わりかもしれません。少なくとも、タイトルに見合うような内容にはならないと思います。

10年を終えて、これから

ここまで読んでくださった方は、これまでたいそうな内容を書いてきたのに、意外とシンプルな対策に落ち着いたものだ、と思われるかもしれません。

わたしの病気対策は、結局、健康的な食事を摂ること、ちょっとした運動を続けること、よい睡眠を目指すこと、そして自分に残された人生を優しい気持ちで楽しむこと、の4つになりました。

一般的にCFSに効果があると言われる、食事療法、段階的運動療法、薬物療法、認知行動療法の4つを自分なりに言い換えて取り組んでいるだけかもしれません。

この10年間、焦りに焦って、じたばた、ドタバタしながら昼も夜もCFSと闘ってきました。

10年目に入って、自分の人生はこれで良かったのだろうか、という絶望に悩まされました。 自分の人生は何だったのだろう、生きていて何の価値があるのだろう…そう思いました。友だちに励ましてもらいましたが、毎日を生きるモチベーションを保つのに苦労しました。

でも、最近、さっき書いた4番目の対策、「自分に残された人生を優しい気持ちで楽しむこと」が実践できるようになってきました。あくせく生きるのをやめて、自分が本当にやりたいことをのんびり楽しむようになりました。

そして、この10年間のことを、悔いの残る失った歳月としてではなく、病気と闘う自分が懸命に闘い抜いた歳月として、穏やかな思いで、達成感を抱いて見つめられるようになりました。

これまでのわたしのやり方は、必ずしも正しい対処法ではなかったと思います。でも、わたしにはこうするしかなかった。今のわたしにできるのは、次の10年を楽しむことだけです。

10年の節目のお祝いに、絵を描きました。この10年がんばった自分に贈るため、これからの日々に新しい朝が来るようにとの願いをこめて。

ここまで読んでくださりありがとうございました!


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