深海の図書館の絵を描いてみました。水の中と本というのは、まったくミスマッチな組み合わせですが、チョウチンアンコウが照らす、深い闇の図書館を描いてみたかったのです。
深い闇が支配する深海の図書館に泳いで入ると、闇の向こうから鬼火のような明かりが近づいてきます。おそるおそる距離をつめると、その明かりの主の顔がぼうっと浮かび上がります。いかつい顔をしたチョウチンアンコウです。
一匹のチョウチンアンコウが、ついてこいと言うかのように、後ろを振り返って進み始めます。まったくの闇に思えていた世界を、ゆっくりと進む明かりが照らし出します。右も左も本の山です。果たしてお目当ての本は見つかるのでしょうか…。
本の場所を探してくれる頼もしい司書さんがやってきます。マッコウクジラの赤ちゃんです。開いた本の内容を確認しようとすると、ジュウモンジダコがそばによってきて、ほのかな赤い光で照らしてくれます。
ふと足元を見ると、床を掃除しているのは、センジュナマコの群れです。
深海はわたしたちが思う以上に謎に包まれています。そこはあたかも、数々の分厚い本が眠る、知恵の宝庫のようなものなのです。