睡眠不足がアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβを増加させる可能性があることが、人間を対象とした実験でも検証されました。
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アミロイドβが蓄積する
2009年9月25日、睡眠不足がアルツハイマー病を引き起こす可能性があるとの研究結果を、米ワシントン大などの研究チームが科学誌サイエンス電子版に発表したというニュースがありました。
その時点では、遺伝子操作でアルツハイマー病にかかりやすくしたマウスを対象とした研究であり、起きている時間が長いマウスではアミロイドβの蓄積が進んでいました。
しかし今回の研究では、45~75歳の健常者145人を対象に骨髄液を調べたところ、睡眠時間が短い32人のアミロイドβ濃度が高いことがわかったそうです。
「睡眠障害がアミロイドβの蓄積を誘発するのか、逆にアミロイドβの蓄積が睡眠障害を引き起こすのかは不明」とされていますが、長期に渡る睡眠不足が、後にアルツハイマー型認知症の発症の一因になるかもしれないことには注意が必要です。
京都大学iPS細胞研究所の井上治久准教授などの研究グループによると、アミロイドβは、正常にタンパク質が作られなくなる「小胞体ストレス」や、活性酸素によってDNAや細胞自身が傷つく「酸化ストレス」を引き起こして、細胞死を招くそうです。
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なお、この記事では、睡眠薬服用が解決策になるかもしれないとされていますが、逆にベンゾジアゼピン系睡眠薬の服用がアルツハイマー型認知症につながるとする研究もあるので、できるだけ自然な方法で睡眠の質を確保するのが良いと思います。
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