腸内常在菌がさまざまな病気と関連しているだけでなく、大脳の代謝系、そして宿主の思考や行動にも影響している可能性が分かったそうです。
腸内の細菌は、わたしたちの体調にさまざまな影響を及ぼすことが知られています。
この記事によると、免疫系疾患や大腸ガン、肥満や寿命など大腸内環境と直接的に接していない全身系、さらには脳との関連が示唆されているそうです。こう説明されています。
腸と脳は、神経系やホルモン、サイトカインなどの共通の情報伝達物質と受容体を介し、双方向的なネットワーク「腸脳相関」を形成していることが分かってきたほか、
最近の研究から、腸脳相関の腸管側刺激因子と腸内常在菌が強く関わっていることも明らかとなり、神経発達障害や脳の発達と行動にも腸内細菌叢が影響することが報告されている。
無菌マウスと通常菌叢マウスを使った研究では、両者の代謝に違いが見られました。それには脳の神経伝達物質やエネルギー代謝に関わる、以下のような物質も含まれていたといいます。
■ドーパミン: 行動と関連深い神経伝達物質
■セリン: 統合失調症との関連性が示されているアミノ酸
■N-アセチルアスパラギン酸: 多発性硬化症やアルツハイマーとの関連性が知られる
■トリプトファンなど: 神経伝達物質の前駆物質である芳香族アミノ酸
■ピペコリン酸: てんかんとの関連性が示唆されている
■N-アセチルノイラミン酸: 乳児の脳発達に関与していると考えられている
■解糖系中間代謝産物
■補酵素NADH
■NADP+ :どれもエネルギー代謝に関連する成分
特にエネルギー代謝に関わる物質が含まれていることは、大脳のエネルギー消費にも腸内常在菌が影響していて、腸内常在菌が宿主の思考や行動にも影響していることを示唆すると考えられるそうです。「脳の健康、疾病、発達および衰弱」に関係する成果だと書かれています。
腸内環境を整えることを目的とした栄養療法や甲田療法のようなある種の食事療法が、慢性疲労症候群をはじめ、脳の病気と考えられている疾患の症状をいくらか軽減する理由を示しているといえるかもしれません。
以下の記事も参考にしてください。
【3/14】腸内細菌叢の正常化と慢性疲労症候群 |