このブログでも取り上げたサヴァン症候群や統合失調症と、天才と呼ばれる人との差は紙一重であり、脳の「認知的脱抑制」という観点から説明できるという学説について書かれています。
認知的脱抑制とは何か
記事では天才と呼ばれたアインシュタインやシューマンやマイケル・ジャクソンが変人だったことが挙げられていますが、彼らが天才であると同時に変人であった理由は、脳が持つ情報のフィルター機能の弱さ「認知的脱抑制」にあったと考えられています。
脳は常に大量の情報に接していますが、通常は精神的なフィルター装置があり、そのおかげで脳での大半の情報処理を意識せずに済んでいます。
ところが、 認知的抑制が弱まると、様々な情報を意識することになり、これがうまく処理されると、創造的な発想につながります。いわゆる過集中状態になることができるのは、意識が様々な刺激で過密になり、そちらに関心が向かってしまっているためだそうです。
しかし逆に認知的脱抑制が強すぎると、とっぴな考えをしたり幻覚・幻聴に悩まされる統合失調症になったり、あるひとつのことに驚異的な能力を示すがほかは何もできないサヴァンになったりするようです。
サヴァンについては以下の記事もご覧ください。このエントリで書いているのと同様の点が、潜在抑制機能と過剰結合という言葉で説明されています。
なぜサヴァン症候群のダニエル・タメットは数字が風景に見えるのか |
結論として、「創造的でエキセントリックな人」とは、「自らの役割を果たす普通の人」と「精神疾患」との境目に存在する幸運な人、ということができます。
不登校の子どもと認知的脱抑制
ところで、不登校の子どもに関する医学的な研究によると、不登校とは、学校社会における大量の情報暴露をうまく処理することができず、脳機能が疲れ果て、自らの役割を果たせなくなってしまった状態を言います。
その情報とは、詰め込み教育による文字通りの情報や、いじめなど人間関係における不安情報のことをいいます。大半の子どもはうまく情報量をコントロールできるのに、不登校になる子どもはそれが苦手なため、脳機能が常に興奮状態になり、夜眠る時間が削られ、生体リズムが乱れます。
また、不登校になった子どもには、創造的でよく考える子どもが多いとも言われています。天才の中に、学校に通えなかった人やいじめられた人、学習障害と思われた人が多いことも知られています。不登校になる子どもは「認知的脱抑制」の傾向があると思います。
不登校の子どもに関する医学的な研究について詳しくは、【小児CFSの本】学校過労死―不登校状態の子供の身体には何が起こっているか(上)をご覧ください。(近日ブログにアップします)。
詳しくは日経 サイエンス 2013年 06月号 [雑誌]に書かれているそうなので、改めて詳しく読んだら記事にしたいと思います。