うつ病・躁うつ病、統合失調症を60-80%の確率で見分けることができる光トポグラフィー検査(NIRS)についてのニュースがありました。このブログでも、以前取り上げたことがあります。
脳の血流を測定して判別する
光トポグラフィー検査(NIRS)はリアルタイムで脳血流を調べ、描画された波形をもとにしてうつ症状のタイプを診断する検査です。100%確実ではないため、問診と合わせて、傾向をみるための補助検査として使われています。
以下の3ステップの間、脳血流を測定することで、うつ病・躁うつ病・統合失調症をある程度判別できるそうです。
(1)「あいうえおあいうえお…」を繰り返す(30秒)
(2)「え」と言われたら「えんぴつ、えのぐ、えほん、えんとつ……」など、その文字で始まる単語をたくさん考えて答える。3パターン(20秒×3)
(3)「あいうえおあいうえお…」を繰り返す(70秒)
光トポグラフィー検査については以前の記事にも書きました。
脳科学が解き明かすうつ病のメカニズム―「NHKスペシャル ここまで来た! うつ病治療」 |
特に躁うつ病のⅡ型は躁状態が短いので、診断が間違うことが多く、正しい治療のために光トポグラフィー検査が役立つと書かれていました。それに対し、この記事では、躁状態が実は性格で、うつ病の波形だった、という例も書かれています。
光トポグラフィー検査は現在のところ、条件つきの医療として、導入が進んでいるそうです。公的医療保険ではなく先進医療として行われており、実施されている病院は以下のリンクの44番「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」で確認できます。
先進医療を実施している医療機関の一覧|厚生労働省 |
この記事に挙げられている範囲では、自治医科大学(菊地千一郎先生)は強いうつ症状があり、紹介状持参の人が対象、東大病院(笠井清登教授)、国立精神神経センター(吉田寿美子先生)は検査入院が対象となっているそうです。
先進医療「光トポグラフィー検査を用いたうつ症状の鑑別診断補助」の受付け再開について - 自治医科大学附属病院からのお知らせ - 自治医科大学附属病院
光トポグラフィー、睡眠検査入院プログラム(1泊2日)|独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 病院
わたしが検査入院した当時は、光トポグラフィー検査はありませんでしたが、バウムテストやロールシャッハ・テストやちょっとした辞書ほどはあろうかという問診票で検査した結果、うつ病ではないと言われました。
安易にうつ病と診断されて正しい治療が受けられていない人も多いので、光トポグラフィー検査のような補助検査は大切だと思います。「将来は治療の進捗をデータで示せる可能性がある」ともあり、経頭蓋磁気刺激(TMS)などと並んで標準医療となるかもしれません。