概日リズム睡眠障害の研究などで知られる日本大学の内山真先生らによる、日温気物医誌第 78 巻 1 号 2014 年 11 月の「ヒトの体温調節と睡眠」のPDFファイルが出ていました。線維筋痛症の睡眠を改善した例についても書かれています。
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■皮膚がラジエーターの役割を果たす
つまり、特定の皮膚部位がラジエターの役割をして熱放散し深部体温が下がると いうメカニズムで睡眠が誘発される。
睡眠の開始に先行して、特定の部位の皮膚の血流が増加し、熱放散が活発化することが、睡眠のタイミングを制御していることがわかってきたそうです。
バーゼル大学の Kraichiによると、睡眠に先行して手背と足背の皮膚温が体幹皮膚温に対して相対的に上昇し、この上昇の大きさが眠気と相関することが明らかになりました。
いわゆる赤ん坊の手が温かくなるのは眠たいサインだ、というのは正しかったということです。
■手が冷える人は眠りにくい
冷え性で手が冷たくなりやすい人は、熱を逃がすのが寝つきに時間がかかることが報告され、手の末梢皮膚温の低い人ほど入眠困難が強いことが報告されている。
冷え性で手が冷たくなりやすい人は、熱放散の効率の悪さから、深部体温を下げることができず、睡眠への移行がうまくいかないそうです。
昼間に眠れない、時差ボケで眠れないというのは、体内の温度が上昇したままの状態にあるからですが、冷え性の人はそれと同じことが夜にも起こってしまいます。
これと関連して、電気毛布などで、睡眠中ずっと温かい環境にしてしまうと、深部体温が下がらず、中途覚醒が多くなるので、注意が必要です。
■線維筋痛症の睡眠を改善
体温と睡眠は密接に関係しているので就床前の入浴や足浴などで体温を制御することで睡眠を促進できるそうです。
Silva らは、線維筋痛症の女性患者 6 名に対して、18-20 時に 36 度の入浴を週 5 回、3 週間にわたり行い、終夜睡眠ポリグラフ検査で睡眠状態を評価し、介入前との比較を行った。
その結果、介入初日において、REM 睡眠潜時の短縮、深睡眠の増加がみられ、15回終了時には、覚醒時間の減少、睡眠潜時の短縮、REM睡眠潜時の短縮、睡眠効率の増加、深睡眠の増加がみられ、この効果は介入終了 3 週間後の調査でも持続していたことを報告した。
線維筋痛症の患者に寝る前の入浴を促したところ、睡眠がよくなったとされています。
皮膚体温、深部体温の一過性の上昇を伴う入浴は、体温中枢に対する刺激や、引き続く皮膚末梢血管の血流上昇などをもたらし、結果的に熱放散を促進し、睡眠を改善したと考えられるとのことです。
わたしはしんどいので入浴はもう何年もしていなくてシャワーで済ませているのですが、長期的な観点から見ると、多少疲れても入浴するほうが、睡眠が改善され、疲労回復につながるのかもしれません。
そういえば、冷え症の問題については、慢性疲労症候群や線維筋痛症の治療で有名な青山・まだらめクリニック | 自律神経免疫治療 自律神経免疫療法 悪性腫瘍 癌治療 線維筋痛症治療 の班目健夫先生がいろいろと本を書いておられます。
班目健夫 医師,【自律神経免疫治療、自律神経免疫療法、統合医療、 代替医療、悪性腫瘍、がん治療、慢性疲労症候群、線維筋痛症】,『慢性疲労症候群』,青山・まだらめクリニック 自律神経免疫治療研究所-(まだらめたけお,) | 名医を探すドクターズガイド |