週間朝日の『新「名医」の最新治療』慢性疲労症候群の特集が、dot.の記事で読めるようになっています。
1.中富康仁先生の話
一つ目の記事に出てくるのは、ナカトミファティーグケアクリニックの中富康仁先生と、患者の三原恵子さんです。
三原さんは、10年以上、慢性疲労症候群に苦しんでいました。少し体調が戻ると、たまった家事を一気に片付けて、また次の日から寝込んでしまうことを繰り返して、なかなか良くなりませんでした。
そこで、少しずつ適度な活動と運動のリハビリテーションを指導したところ、徐々に起きていられる日が増えたそうです。
中富先生はこう述べています。
慢性疲労症候群の人は、数年以上診断が特定されないことも多く、適切な治療がされない期間が長くなればなるほど、治りにくくなります。
疲労度計、酸化ストレス検査、睡眠時活動度検査、心理検査などを受けてもらい、症状や検査の結果により、西洋薬、漢方薬、サプリメント、リハビリテーションなどを組み合わせて治療するそうです。
このリハビリテーションは、最近も話題になっていた段階的運動療法だと思います。
2..村上正人先生の話
二つ目の記事に出てくるのは、日本大学医学部附属板橋病院の村上正人先生と、患者の市橋孝則さんの話です。
市橋さんは、システムエンジニアとして、食事や睡眠がとれないほどの激務が続いた末に、発熱と共に慢性疲労症候群を発症し、当初は軽度のうつとして治療を受けていましたが、よくなりませんでした。
雑誌で慢性疲労症候群を知り、受診したところ典型的な患者だとわかりました。村上正人先生はこう述べています。
市橋さんはそれまでにあらゆる薬を処方され、長い間症状を繰り返していました。慢性疲労症候群の典型的な患者さんでした。
活動的で、一つのことにのめり込むタイプの人がなりやすい病気です。市橋さんは、仕事の能力が高く、完璧主義で強迫観念が強い傾向にありました。こういう人は過活動状態が続き、心身の疲弊をまねいて、生体防御能(免疫力)や自律神経機能が落ちてしまいます。
村上正人先生が慢性疲労症候群を解説したラジオ番組もあります。
簡単にまとめると以上のようになります。これで内容がすべてというわけではなく、実際の紙面では、「改善するのは約一割にすぎない」ということや、木谷照夫先生のコメントも載せられていると、ほかの患者の方のブログで拝見しました。
少なくとも、このWeb上の記事を読んだ限りでは、患者の苦悩が伝わるような内容だとは、あまり思えませんでした。詳しい記事ではないので仕方がないのかもしれませんが、重症の患者の具体例や子どもの患者についても書いてほしかったところです。
中富先生の「近くの医師でもいいので受診しましょう」という言葉はどうかと思います。近くの医師を受診した結果、村上先生の例にあるような、的外れな医療で時間を無駄にする人もいたり、もっと悪いことには、医者に恥をかかされる人さえ少なくないのですから。
そのほか、性格的特徴や、段階的運動療法がクローズアップされているのは、人によっては違和感を感じるかもしれないと思いました。
とはいえ、現在苦しんでいて、診断にたどり着いていない人が、「もしかしてわたしも?」と思うきっかけにはなる内容ですし、慢性疲労症候群について専門医が情報を発信している貴重な特集だと思います。