福井大子どものこころの発達研究センターの友田先生(@a_tomoda)が虐待に関する研究を発表したというニュースがありました。
ドメスティックバイオレンス(DV)を日常的に目撃した子どもは脳の視覚野が萎縮し、将来の心の病に関わっている可能性があるという内容です。しかも、暴言のほうが暴力より破壊的だとさえ書かれています。
DV目撃すると子どもの脳萎縮「心の病」との関連も 福井大など共同研究 - MSN産経ニュース |
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調査によると以下のようなデータが得られたそうです。
直接虐待を受けたことはないが夫婦間のDVを目撃してきた18~25歳の男女22人と、目撃経験のない同年代30人の脳を磁気共鳴画像装置(MRI)を使って比較したところ、右脳視覚野にある一部は目撃経験のある男女が平均約6・1%小さく約6・5%薄かった。
左脳視覚野の一部も約6%薄かった。影響を受けやすい年齢は11~13歳で、暴力より暴言の方が深刻な影響を与えることも分かった。
最近、虐待の関係でこのブログに来てくださる方が増えました。友田先生による「脳が萎縮する」という研究を読んで、救いようがない、と落ち込む当事者の方もいるようです。
確かに虐待の影響が深刻であることは疑いようがありません。その影響はふつうは外から見えないので、単なる「こころの問題」として軽視され、被害者である子どもが非難される場合さえあります。友田先生の研究はそのような誤解を正すものだと思います。
友田先生の研究については以前に以下のエントリでまとめました。そこで先生は、これを「治らない傷」と考えるのは早計だと述べています。もしよろしければそちらもご覧ください。
だれも知らなかった「いやされない傷 児童虐待と傷ついていく脳」(2012新版) |