2月27日ごろから英語圏で話題になっている慢性疲労症候群のニュースがMedエッジを通して紹介されていました。
慢性疲労症候群が発症して3年未満のグループに、炎症性サイトカインの活性化が見られ、バイオマーカーとして使えるかもしれないという内容です。
例によってMedエッジの翻訳は信用できないので(記事内で3348人とされているのは348人の誤りであるなど)、New York Timesの記事から翻訳してみました。
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New York Timesの記事の中程以降を翻訳しています。わたしの訳もあまり自信がないので、読まれる場合は参考程度にとどめ、正確な情報は原文を参照してください。
――――以下翻訳――――
コロンビア、スタンフォード、ハーバードの科学者たちを含む研究チームは、慢性疲労症候群の患者298人と348人の健康な人々の対照群の血液を、免疫システムのメッセンジャーとして機能する物質である51のサイトカインを対象に検査した。チームはすべての患者と健康な対照群を比較したが、2つのグループに有意な差は何も見いだせなかった。
しかし患者たちを2つの群(病気になって三年未満のグループと、それ以上のグループ)に分けた後、明確な違いが見つかった。そして両方のグループとも、健康な対照群と異なっていた。
病気になって3年未満のグループには、他の被験者と比較して体内の炎症に影響するサイトカインの顕著な活性化が見られた。病気になって3年以上のグループはサイトカインの活性化の勢いが弱まる兆候を示した。研究者たちは、それは免疫システムの早すぎる老化(premature immune-system aging)が起こりうる兆候だと解釈した。
「これらは病気の発症後すぐに血液によって検出できるバイオマーカーである。そしてこれは診断に重要な影響を及ぼす」と、この新しい研究の筆頭著者である、コロンビア大学の疫学准教授のMady Hornig医師は述べた。
ME/CFSのほとんどの症例は急性ウイルス感染後に起こる。数名の研究者たちは感染や環境汚染の曝露、または外傷(トラウマ)がサイトカインの産生を増加させる免疫応答をオフにする(sets off an immune response that increases cytokine production.)と推測している。しかしながら、免疫システムは、ひとたび脅威が去っても、通常の機能には戻らない。
この症候群の根本的な原因は知られていない。そして現在の治療法は一般的に症状の緩和を目的としている。すでに使用されているいくつかの薬は、患者たちの活性化していることが示されたサイトカインに影響を及ぼす、とHornig医師は述べた。それらの薬は臨床試験でテストする明確な候補であると彼女は述べている。
研究チームは個々のサイトカインのプロファイルが時間とともに変化することに関するデータを今年後半に公開する予定である。症状やほかの要因の報告された重さに伴って、どのように変化するかをもっと密接に追跡する、とHornig医師は述べた。
――――以上翻訳――――
単にCFS発症3年未満(less than three years)の人たちに炎症性サイトカインの活性化が見られるだけでなく、3年以上のグループにも、免疫システムの早老(premature aging)のような兆候が見られると書かれています。これは免疫が通常の機能に戻っていないためです。
慢性疲労症候群はアメリカでは慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)と呼ばれることもありますが、免疫系の異常が関与していることが窺えます。
これが今後バイオマーカーとして診断に使われるのかどうかは現時点ではわかりませんが、調査が継続されるようなので、今後さらに多くの点が明らかになるのを待ち望みたいと思います。