近年、腸内細菌叢(腸内フローラ)はさまざまな病気の発症や健康の維持に関わっていることが明らかになっていますが、日本で腸内細菌の重要性を長年説いて、多数の本を出版されているのが免疫学者の藤田紘一郎博士です。
藤田紘一郎博士は、もともと「花粉症やアレルギーの原因は寄生虫を撲滅しすぎたため」という衛生仮説の先駆け的な方らしく、体内にサナダムシを共生させ、日本で独自に寄生虫療法を試みた話で有名だそうです。
先日、海外の腸内細菌に関わるベストセラー「寄生虫なき病」を読みましたが、藤田紘一郎博士の名前が一箇所だけ出ていて、今アメリカで注目されている寄生虫療法の提唱者が、それを試みるきっかけとなった重要人物として 載せられていました。
寄生虫と腸内細菌は、どちらも、人間の体内で古くから共生してきた微生物という共通項があり、どちらも抗生物質の使用や現代型の食生活のため、人間との相利共生関係に変化が生じており、それが免疫系のアンバランスにつながっていると考えられています。
藤田紘一郎博士は、腸内細菌や寄生虫について一般向けの本を多数書かれていますが、つい数日前、新刊として腸内フローラ 医者いらずの驚異の力が発刊されていました。
出版社のサイトによると内容は次のようになっています。
腸内フローラ 医者いらずの驚異の力│宝島社の公式WEBサイト 宝島チャンネル
最近テレビや週刊誌などで話題の腸内フローラ。腸内フローラとは、腸内細菌叢のことで。腸内環境と生活習慣病との関わりはよく知られていますが、最近うつや肥満などにも腸が関わっていることがわかりました。
「腸内フローラとはなにか?」から「納豆は夜食べろ」などの新常識を腸研究の第一人者、藤田紘一郎博士がわかりやすく解説してくれます
藤田紘一郎博士の本は、以前に腸内革命―腸は、第二の脳であるを読みました。特に目新しい話はなかったように記憶していますが、一般向けにわかりやすく噛み砕いてあったと思います。しかし大衆向けの本ゆえの誇張や飛躍が含まれているようにも感じました。
腸内細菌などの共生微生物の役割について詳しく知りたいなら、明らかに寄生虫なき病のほうをお勧めしますが、400ページも文字だらけの本を読めないという場合は、簡単に説明してある腸内革命―腸は、第二の脳であるや、今回発刊された腸内フローラ 医者いらずの驚異の力を読めばいいかもしれません。
いずれにしても、腸内フローラが現代の医学で非常に重要な位置を占めるようになってきたことは確かなので、誇張されたり、夢の治療法発見といった触れ込みがなされたりすることには注意しつつも、さまざまな病気との関連を意識しておく必要があると思います。