小児慢性疲労症候群(CCFS)と睡眠障害についてのニュース記事が2つ掲載されていました。
ひとつ目の日経新聞の記事では、CCFSがどんな病気で、原因や治療はどうするか、という点について、二つ目のエコノミックニュースでは、三池輝久先生の眠育の取り組みについて紹介されています。
CCFSは高学年になるほど治りにくくなる
ひとつ目の記事では、小児慢性疲労症候群(CCFS)と睡眠障害との関係や、脳機能の特徴について扱われていました。
CCFSは日常生活もままならない強い慢性的な疲労感を抱える子どもの病気です。
CCFSの子どもの脳機能を調べた、理化学研究所などの機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を用いた研究では、「健康な子供よりも脳活動の効率が悪いため、疲れを感じやすくなっている」ことがわかりました。
また大阪市立大学などが、2006から2008年に、小中学生約1000人を対象に生活習慣と疲労の関係を調べたところ、睡眠時間が短いほど疲れを感じやすくなっていて、中学進学時に突然睡眠時間が減ることが不登校と関係している可能性が示唆されました。
大阪市大ではさらに、国内の小中高生約1万人を対象にした実態調査を2015年春から始めたそうです。
小児慢性疲労症候群の専門家である。三池輝久先生はこう述べています。
症状が重い子供には睡眠習慣を元に戻す治療が効果を上げつつある。発症すると回復しにくいため、症状が軽いうちに睡眠習慣を改善するなど対応が大切だと専門家は指摘する。
…(中略)…
小児慢性疲労症候群が厄介なのは、高学年になるほど完全に回復するのが難しくなることだ。
同病院の三池輝久特命参与(熊本大学名誉教授)は「夜更かしの習慣が引き金になる。小さいうちから正しい睡眠の習慣をつけてほしい」と訴える。
三池先生の兵庫県立リハビリテーション中央病院では光治療やサプリメントなどで睡眠問題を治療する取り組みを行っていますが、対応できる専門家や医療機関は少なく、ほかの病気と誤診されている場合も少なくないようです。
スマホ依存を防ぐ眠育は予防に大切
二つ目の記事では、近年問題となっているスマホ依存による睡眠問題が取り上げられています。
CCFSのすべてがスマホ依存と関係しているわけではありませんが、就寝前に電子機器を使うことで、眠りの質が悪化したり、夜更かしになったりして、睡眠障害につながる例が少なくないそうです。
堺市立三原台中学校では、年間30日以上休む不登校予備軍のような生徒の多くは、スマホ使用などで午前0時以降に就寝していることがわかり、三池輝久先生の協力のもと、眠育をはじめたとのこと。
中学生は1日8から9時間の睡眠が必要であることを教え、家族の協力も得て、睡眠時間を記録させたり、就寝前にスマホとテレビを使わないよう指導したりしたところ、欠席日数が減ったとされています。
こうした予防の取り組みが進むとともに、発症した場合に完全に回復するための研究が進んでほしいところです。
小児慢性疲労症候群について詳しくは以下の記事をご覧ください。