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【12/25】発達障害の関連遺伝子を特定するプロジェクト

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達障害の関連遺伝子を特定するいろいろなプロジェクトについて、最近幾つかニュースに出ていました。

■大企業による発達障害の研究

まずは、Googleが、自閉症スペクトラム(ASD)の人とその家族10000人のゲノムを解析する計画「MSSNG」を明らかにしたというニュースがありました。クラウドでゲノム解析をすることで、より効率的に調査を進められるそうです。

グーグルがゲノム解析を支援:自閉症研究などと提携 « WIRED.jp

Googleは以前もガンの研究にクラウドを用いているそうですが、こうしたIT関係の大企業が、話題の健康分野に乗り出した例としては、最近ではSamsungの事例もありました。

Samsungは、自閉症の子どもの治療を支援するアプリケーション「Look At Me」をリリースしたと報道されていました。

Samsung、自閉症児童治療支援アプリケーションの「Look At Me」をリリース - TechCrunch

子どもたちに視線を合わせる行為の練習をさせるAndroidアプリケーションだそうです。盆唐ソウル大病院や延世大学の医師や教授などが共同開発したもので、Google Playで公開されています。

記事では、こうした活動は話題の障害を取り扱う企業PRとしての側面があるとされていますが、大企業が乗り出すことで、診断や治療の技術が進むことにも期待したいものです。

日本の企業でも、任天堂が、健康事業への参入を明らかにしており、第一弾は、疲労と睡眠という、日本人にとって悩ましい分野を選んだそうです。

任天堂が「疲労と睡眠の見える化」に挑戦―渡辺先生や倉恒先生と協力!| いつも空が見えるから

■国立精神神経センターによるAUTS2遺伝子分析

次にニュースになっていたのは、国立精神神経センターによるAUTS2 (Autism Susceptibility Candidate 2)遺伝子の働きの解析です。

AUTS2遺伝子は、広い領域に存在する遺伝子で、2002年に自閉症スペクトラムの患者で見つかり、その後、統合失調症や注意欠陥多動性障害(ADHD)、知的障害、薬物依存、てんかんなどのさまざまな精神疾患に関わることがわかってきました。

今回の研究により、さまざまな精神疾患において広く共通の病理が存在することを示唆されたと言われています。「AUTS2遺伝子の機能が阻害されると、神経細胞の移動が障害され、神経突起の伸長と分岐が妨げられて、多様な精神疾患が引き起こされる」そうです。

自閉症、統合失調症などさまざまな精神疾患に関わる遺伝子の働きが明らかに-NCNP - QLifePro 医療ニュース
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 多様な精神疾患に関わる遺伝子の働き解明 | サイエンスポータル はてなブックマーク - 多様な精神疾患に関わる遺伝子の働き解明 | サイエンスポータル

■12000家族分の遺伝情報を分析する英国のプロジェクト

最後に、12000家族分の発達障害の遺伝子を分析する大規模な英国のDDDプロジェクトについてもニュースになっていました。

現在のところ、診断未確定の重度の障害がある子ども1133人とその両親のゲノムの詳細な調査によって、発達障害に関わる12個の遺伝子が特定されたそうです。

これらの遺伝子変異をもたらす原因はまだわかっておらず、出生前に起こるものもあれば、負傷や感染症、環境的影響などの要因によって出生後に発現する可能性があるものもあるそうです。

時事ドットコム:発達障害の関連遺伝子12個を特定、英研究
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発達障害の関連遺伝子12個を特定、英研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News はてなブックマーク - 発達障害の関連遺伝子12個を特定、英研究 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

これらの遺伝子研究は、まだ効果的な治療法や簡便な診断方法に結びつくものではありません。雲をつかむような話にすぎませんが、大企業が研究に乗り出したり、大規模なプロジェクトが実施されたりしていることは、今後の研究の発展に期待できる要素だと思います。


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