なぜアレルギーや自己免疫疾患、自閉症が増えているのか。
その問いに対するひとつの答えとして、人間とともに生きてきた共生菌などの微生物を、抗生物質などで駆逐したことにあるのではないか、という「衛生仮説」をこのブログでも紹介しました。
その問題を扱った邦訳書籍失われてゆく、我々の内なる細菌が、今月発売されていました。
出版社のサイトによると、内容は以下のように紹介されています。
19世紀に始まる細菌学によって、人類は微生物が病原になりうることを知った。そしてカビに殺菌力が見出される。
抗生物質の発見である。以来この薬は無数の命を救う一方、「念のため」「一応」と過剰使用されてきた。
これは、抗生物質は仮に治療に役立たなくても「害」は及ぼさない、という前提に基づいている。
しかし、それが間違いだとしたらどうなのか――。
食物アレルギー、潰瘍性大腸炎、自閉症、肥満、喘息などと腸内フローラ、抗生物質の関係について扱われているそうです。
著者のマーティンJ・ブレイザーは、ニューヨーク大学の微生物学教授で、米国感染症学会元会長だそうです。現在はニューヨーク大学のヒト・マイクロバイオーム計画を率いていて、『タイム』誌によって、今年「世界で最も影響力のある100人」のひとりに選出されました。
腸内細菌は、このブログで扱っている自閉症や慢性疲労症候群といった、免疫関係の病気や障害とも関係があるといわれています。腸内細菌の正常化をターゲットにした治療が、これらの問題に効果があるという報告もあります。
先日、同様の問題を取り上げた本の書評として、自閉症や慢性疲労症候群の脳の炎症は細菌などの不在がもたらした?―寄生虫療法・糞便移植で治療を書きましたが、この本もいずれ読んで感想を書きたいと思います。