私たちは現在、かつてより病気になりやすくなっているような気がする。
…過去に見られた多くの致死的な疫病とは異なり、そうした病気の症状は慢性的で何十年にもわたって患者の生活の質を低下させる。(p2)
慢性疲労症候群などの慢性炎症疾患、クローン病・潰瘍性大腸炎・多発性硬化症などの自己免疫疾患、アトピー・花粉症などのアレルギー、そして自閉症。
これらはどれも、近年、先進国を中心に、謎の急増を記録している病気です。
なぜこうした病気が増加しているのか、さまざまな意見が飛び交っていますが、多くの場合、それらは、問題のほんの一面について議論しているにすぎません。
中には疾病概念の普及や過剰診断で患者が増えているように見えるだけにすぎないと論じる人もいますが、現場の医師や、当事者たちは、それだけではこれほどの増加は説明できないとはっきり感じています。
近年、これらすべての病気には、共通する原因があるのではないか、という背筋が寒くなるような事実が明らかになりつつあります。それは気候変動や環境汚染と同じほど衝撃的かつ深刻、そして世界的な問題だと考えられています。
失われてゆく、我々の内なる細菌という本から、今、医学の世界で注目されている「マイクロバイオームの消失」、「抗生物質の冬」といった、わたしたちの未来に関係するキーワードについて紹介したいと思います。
これはどんな本?
この本は、ニューヨーク大学の微生物学教授で、米国感染症学会の会長を務めたこともあるマーティン・J・ブレイザーの著書です。
ブレイザー教授は2015年、タイム誌によって「世界で最も影響力のある100人」の1人に選ばれました。
ブレイザー教授は、細菌について30年以上研究してきました。当初は他の学者たちと同じく、病原菌との闘いに身を投じていましたが、やがて、考えを変え、今、世界中から注目されている先進的な理論を展開するようになりました。
なお、この本では、ヒトの腸内に住む細菌について、一般的にメディアなどでよく使われている「腸内フローラ」という言葉ではなく、「マイクロバイオーム」という言葉が用いられています。
フローラは細菌が植物相(フローラ)に分類されていた古い時代の呼称であり、現在では細菌は微生物相(マイクロバイオータ)に分類されているためです。(p249,284)
「天動説」から「地動説」へ
はるか昔、天才科学者アリストテレスは、宇宙は透明の天球によって構成されており、すべての星は地球を中心に回転していると唱えました。
その考えは長らく信じられていましたが、コペルニクスとガリレオ・ガリレイの登場によってい覆されました。世界は地球を中心に動いてなどいなかったのです。
しかし、これとは別の“天動説”が21世紀のはじめに至るまで、まことしやかに論じられ、多くの人に信じられていました。今だにその考えを信じている人も大勢います。その“天動説”とは何でしょうか。
人間は自然界の中心ではなかった
世界は人間を中心にまわっている。
これは多かれ少なかれ、多くの人が信じている“天動説”です。
人間は、生物界において、特別な存在とみなされ、実際に大いに栄えてきました。技術の革新は、他の植物や動物はなんであれ、人間の思い通りに動かせるのだと人々に思い込ませるほど進歩しました。
わたしたちは、自由に作物を生産し、家畜を食肉工場で養殖し、農薬や遺伝子組み換えなどの最新科学技術によって自然のことわりさえコントロールしている。大半の人はそう考えています。
そうであれば、世の中は人間を中心にまわっているという“天動説”が、当たり前の真理として受け入れられているとしても驚くにはあたりません。
しかしそれは、目に見えるものだけを見た結果です。もし目に見えないマクロの世界を人間が見ることができれば、いかに大きな過ちに陥っていたかがはっきりとわかるでしょう。
「我々は細菌の時代に生きている」
ここで、ちょっと、時計を思い浮かべてみてください。昔ながらの、短針秒針のある丸いアナログ時計です。
地球上の生物の遺伝的な類似性は、系統樹という枝分かれした図で説明されることがあります。それをこの場合、中心から放射状に枝分かれしていると考え、時計に乗るように配置します。
すると、現在のあらゆる生物が中心から、1から12のさまざまな数字の方向へと広がっていることがわかるはずです。同じような方向に分布している種ほど造りが似ていて、1時と7時のような正反対の方向に分布している種ほど造りの違う生き物です。
では、人間とトウモロコシはどこに位置するのでしょうか。まず人間は8時の位置だと仮定します。ではトウモロコシは正反対の2時ごろ?
とんでもない! トウモロコシは、8時10分くらいの位置にいるそうです。ごくわずかなレベルで短針の角度が違うだけです。(p16)
そうであれば、ほかのほとんどの数字の方向には、どんな生物が存在ているのでしょうか。
細菌です!
8時の方向を除いて、1時、2時、3時…ありとあらゆる位置に、遺伝的に圧倒的な多様性を持ち、さまざまな造りをもった、膨大な種類の細菌たちが分布しているのです。
たとえば、よく知られている大腸菌とクロストリジウム属菌の遺伝的距離は、トウモロコシとヒトの遺伝的距離より遠い。
人類は、細菌が圧倒的優勢である世界の小さなシミにすぎないとも言える。私たちはこうした考え方に慣れる必要がある。(p16)
細菌がいかに多様であるかは、近年のさまざまな発見から明らかです。
海底の熱水噴気孔の過酷な環境で繁栄している細菌がいます。海洋に浮かんだプラスチックを貪り食っている細菌も発見されました。はるか空の上を飛んでいる細菌もいます。放射能を放出する核廃棄物に住む細菌もいます。
先日のニュースでは、電気をエサにしている細菌が見つかり、驚きをもって迎えられていました。
人類は70億人いると言われていますが、細菌はそれどころではありません。地球には10の30乗の細菌がいると考えられており、重さにすればなんとアフリカゾウ2400億頭分にもなるのです。
ここ数千年の間に文明を築いた人類は、生物界の頂点に君臨したかのように我が物顔でふるまっていますが、実際には、何億年も続く細菌たちのユートピアに、ちょっと足を踏み入れた新参者でしかないのです。
1993年に、スティーヴン・ジェイ・グールドは適切にもこう述べました。
私たちは細菌の時代に生きている(始まりのときから、今も、そして世界が終末を迎えるまで)
細菌は敵か味方か
人類が、先住者たる細菌の存在に気づいたのは、ごく最近です。
1858年に、フランスのルイ・パスツールが、微生物によって病気が生じることを、はじめて明らかにしました。
1928年アレクサンダー・フレミングが、捨て忘れていたペトリ皿から、最初の抗生物質、ペニシリンを発見しました。
その時から人類は、先住者たる細菌を、病気の原因として撲滅しようと、徹底抗戦をはじめました。ちょうど、新大陸を発見した人たちが、現地の先住民を野蛮だとみなし、支配し、虐殺しようとしたときのように。
ヘリコバクター・ピロリ菌は本当に悪なのか
こうして撲滅され、絶滅危惧種にまで追い込まれた細菌の一つがピロリ菌です。ピロリ菌は20世紀はじめ、ほとんどすべての人の胃に存在していました。
しかしピロリ菌は、胃潰瘍や胃がんの原因であると判明し、抗生物質による除去が進められました。その結果、995年以降生まれたアメリカ人では6%の人にしか存在していないそうです。(p128)
しかし、ブレイザー教授は大きな疑問を抱いていました。ピロリ菌が本当に極悪なテロリストであるなら、なぜ、何千年も、人類は、胃の中に彼らを100%住まわせ、共存してきたのでしょうか。
ブレイザー教授は、自分でピロリ菌除去を試したところ、半年たって、胸焼けを感じはじめました。実は、ピロリ菌を持たない人は、胃食道逆流症(GERD)の発症率が8倍にもなる、ということがその後の研究でわかりました。(p139)
さらに、ピロリ菌の根絶が、胃がんの発症率を下げる代わりに、食道がんの発症率を上げることもわかりました。ピロリ菌は、胃酸の強さを調節し、食道を保護する機能を持っていたのです。
細菌はヒトの免疫系を訓練していた
そして、意外なことに、ピロリ菌を持っていない子どもは、若くして喘息になりやすいこと、また花粉症やアレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎の発症とも関係していることがわかりました。(p147,150)
なぜピロリ菌がいなくなるとアレルギー疾患が生じるのでしょうか。
ピロリ菌をはじめ、人体に共生する細菌は、生まれたての子どもの免疫系を訓練し、Tレグ細胞と呼ばれる炎症を抑える免疫細胞に、何が敵で何か敵でないかを教える役割を担っているようです。
つまり、細菌たちは、自分たちが生き残れるように免疫系を教え込みます。その結果、人間の免疫系は、異物に柔軟に対応できる賢さを獲得し、極端なアレルギー反応を引き起こさないよう訓練されるのです。
人類は長きにわたり、ピロリ菌と同盟を結んでいました。平均寿命が50歳に満たない時代には、人間の一生にわたり、ピロリ菌が害をもたらすことはなく、むしろ役に立つ相利共生の関係、「アンフィバイオーシス」にありました。(p117)
しかし医療の進歩で、突然平均寿命が延びたために、ピロリ菌が晩年に胃潰瘍や胃がんを引き起こすことが増え、突然悪者とみなされてしまったのです。
ブレイザー教授はこう考えています。
ピロリ菌に対する私の考え方は、ピロリ菌は人生の前半には健康にとって利益をもたらす一方、晩年においては健康に対する障壁となる、というものである。(p154)
※注: 本書ではピロリ菌の共生について書かれているとはいえ、ピロリ菌が胃の疾患の原因となることは事実です。ピロリ菌の除去などの治療が必要な場合には、医師の指導に従ってください。
腸内細菌の大絶滅―その3つの要因
人の腸内細菌のうち、絶滅しつつあるものは、ピロリ菌だけではありません。
かつて、地球上の生物が大量絶滅した時代が5回あり、「ビッグファイブ」と呼ばれています。恐竜が絶滅した白亜紀の大量絶滅はひときわ有名です。
しかし今日、さまざまな理由によって、地球上の生物の大多数を占める細菌の世界で、見えない大量絶滅が進行している可能性があります。
近代文明に生きるわたしたちの腸内で、種の絶滅がどれほど進んでいるかは、アメリカ人とアマゾン先住民との腸内細菌を比較した次の報告からわかります。
157人の北米人は、彼らに特有の細菌を数種類しか保有していなかった。
一方12人のアマゾン先住民は北米人が保有していない、彼らに特有の細菌を数百種類も保有していた。
さらに、ひとつひとつの個数は少ないものの、北米人より細菌の種類がずっと多かった。(p241)
アメリカ人の腸内では、細菌の生物多様性が、恐ろしいほどに失われていたのです。
その原因はさまざまですが、ここでは3つの理由を挙げましょう。
1.抗生物質の乱用
抗生物質はかつてないほど乱用されています。病院では大量処方され、「念のため」過剰に使われます。
約200万人の成人入院患者に対する最近の研究で、50種類の最もよく使われる抗生物質が調査された。
入院日数1000日毎に776日の抗生物質治療が行われていた。(p208)
しかし、抗生物質が最も多く用いられているのは農場や牧場です。農家では農薬として、牧場では成長促進剤として使われています。これは抗生物質全体の7-8割にも上ります。(p91,95)
要するに、わたしたちの口にしている食物は、リンゴから肉に至るまで、抗生物質漬けにして育てられたものなのです。抗生物質は家畜や果実の病気を防ぐだけでなく、よく大きく肉付きよく育つよう成長を促進します。
抗生物質によって、動物に、土壌に、人間の体内に、抗生物質が染み渡り、殺菌されています。今では、海や地下水からさえ微量の抗生物質が検出されるそうです。
2.帝王切開
医学の進歩は、妊婦が出産のときに死ぬという悲劇を、かなりの程度減らすことに成功しています。すでに述べた抗生物質は感染を防ぐために必ず妊婦に投与されるようになりました。
しかし別の問題があります。それは帝王切開だといいます。
2011年、アメリカで生まれた子どもの3人に1人が帝王切開だったそうです。帝王切開は、安全で、スケジュールを調整しやすく、痛みが少ないとされています。(p108)
しかし帝王切開で生まれた子どもは、肥満やアレルギー疾患のリスクが上昇することがわかっています。(p182)
本来、赤ちゃんは生まれるときに産道を通ることで、母親の体内の細菌を獲得します。しかし帝王切開で生まれる子どもは無菌的に扱われるので、人生のはじめに、大切な細菌と出会わなくなるのです。
3.行き過ぎた清潔志向
現代社会が清潔になりすぎたことで病気が増えたという考えは「衛生仮説」と呼ばれます。ブレイザー教授は、身の回りを清潔にすることよりも、体内の細菌が失われることのほうが問題だと考えています。(p5)
とはいえ、細菌の世界は、体内にも体外にもあらゆるところに広がっているので、行き過ぎた清潔志向によって細菌が消滅していることは確かです。
インフルエンザなどへの恐れや強迫観念から、消毒薬を使いすぎ、無菌・殺菌の製品ばかりを使うことは、リスクを伴います。身の回りの細菌を殺す化学物質は、わたしたちの内なる細菌にも牙をむくからです。
※注:抗生物質や帝王切開によって、非常に大勢の人の命が助かっていることは事実です。それらについて一概に悪いと決めつけたり、命に関わる場合に医療処置を拒んだりするような極端な見方に走らないようご注意ください。
「抗生物質の冬」は防げるか
ブレイザー教授は、現代の人々に起こっているさまざまな難病は、地球規模の問題の氷山の一角にすぎないと考えています。
ブレイザー教授は、この問題がいかに深刻かを示すために、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」や、カール・セーガンの「核の冬」をもじって、「抗生物質の冬」と呼んでいます。
冒頭に挙げた増加する難病の数々は、共通する原因、地球規模の細菌の減少を反映したものかもしれません。
腸内細菌の減少がもたらした難病たち
この本では、腸内細菌と関係する病気として、次のようなものが挙げられています。
■セリアック病…発症した人は、そうでない人より発症前の数ヶ月間に抗生物質を処方されていた割合が4割高かった。(p193)
■潰瘍性大腸炎・クローン病…若年性の潰瘍性大腸炎を発症した子どもは抗生物質を処方されていた割合が84%高かった。(p197)
■自閉症…マウスの研究では、腸内細菌は脳の初期発達や気分に大いに影響を与えていると考えられている。(p201)
■背の高さと肥満…先進国では、若者の身長は高くなり肥満は増加している。栄養がよくなったからとされがちだが、抗生物質は家畜の成長促進剤であることを考えると…?(p173)
■耐性菌による感染症…細菌たちはただ黙って殺されているわけではない。むしろ驚くべき速度で軍拡に取り組んでいる。抗生物質の乱用によって、脅威的な速度で耐性菌が出現しており、近々抗生物質が役に立たなくなるかもしれない。(P210)
もちろん、ブレイザー教授は、次のように冷静な但し書きをしています。
私が指摘しているのは20世紀後半に劇的に増加した諸疾患についてで、その時期は近代的医療が展開された時期でもあった。
確かに、それぞれに個別の原因が存在している可能性はあるし、実際にそうだろう。
しかし多くの人々に臨床的な沈黙から明らかな病態への一線を超えさせるような、単一の原因もありうる。(p204)
つまり、それぞれに多様な原因があるとしても、腸内細菌の減少による免疫機能の異常が、これらすべての病気を発症しやすくしている可能性があるということです。
抗生物質によってすべてが解決するという期待が幻想だったように、腸内細菌によってあらゆる物事に説明がつくと考えるのもまた幻想です。物事はもっと複雑だからこそ危険なのです。
▼腸内細菌と慢性炎症・自己免疫疾患の関係
このブログで取り上げている慢性疲労症候群や発達障害などの脳の神経疾患との関わりについては、別の本に関する以下の記事をお読みください。
気候変動と同じ世界的問題
「抗生物質の冬」 は地球温暖化と似ています。便利な文明の利器として普及した自動車が、知らず知らずのうちに深刻な世界的問題をもたらしたのと同様に、魔法の薬として普及した抗生物質が、見えないところで生態系を破壊していたからです。
地球の生態系や環境は、絶妙なバランスと相互作用の上に成り立っています。そのため、一つのくさびが抜けると、全体が大きく傾くことがあります。
たとえば、イエローストーン国立公園でオオカミを駆逐したとき、エルクが爆発的に増加し、エルクはヤナギを食い尽くし、ヤナギが守っていた川が侵食され、あらゆる生き物が大打撃を受けました。オオカミは「キーストーン種」だったのです。(p27)
ではもし、抗生物質によってキーストーン種の細菌がいなくなったら? 今まで抑えこまれていた別の細菌が増殖し、それが強い有毒性を持つ種だったら?
自動車が普及することで、破壊的なハリケーンが生じ、海面が上昇するなんて、信じられないような話ですが、同様のことが、細菌の世界ですでに起こっている可能性があります。
そして、わたしたち人間は、その細菌の世界のまっただ中に住んでいるのです。
失われてゆく内なる細菌は取り戻せるか
この本の最後には、この明るみに出た非常事態に対処するためのさまざまな方法が考案されています。
■抗生物質は、良い細菌まで絨毯爆撃するような広域スペクトルのものではなく、特定の病原菌を狙い撃つ狭域スペクトルのものを開発すること
■本当に抗生物質が必要なのか見極める検査を確立すること
■血液検査などに加えて腸内細菌検査を実用化すること。
■帝王切開をする際には、「膣内ガーゼ法」を用いて、母親の細菌を赤ちゃんに塗布すること
■難病の人には「糞便移植」によって健康な腸内細菌を移植すること。
■個人個人の腸内細菌のリストを作り、足りない腸内細菌をプロバイオティクス、プレバイオティクス、シンバイオティクスで補充すること などなど…
最近のニュースによると、腸内細菌検査については、日本でも実用段階に入っていることが報道されていました。
しかし、たとえば狭域スペクトルの抗生物質などは、安全性が高い反面、ひとつの病気にしか効かないため、利益が出ず、製薬会社が開発に乗り気でないという現状もあります。
抗生物質の使用を制限したり、すでに失われた腸内細菌を取り戻したりすることは本当に実践可能なのでしょうか
ブレイザー教授は楽観的に考えていますが、問題は相当深刻であるように思えます。
複数の危機が同時に生じて破滅的な事態に至ることは、「パーフェクトストーム」と呼ばれ、同名タイトルの映画もありました。
今日のわたしたちが直面している問題は非常に多く、それらはひとつひとつが人類の存亡に関わるレベルのものです。
気候変動、核問題、人口爆発、環境破壊、資源の枯渇、家庭機能の崩壊…、そしてここに来て追加された「マイクロバイオータの消失」。まさにパーフェクトストームです。
わたしは、これらについて考えるとき、問題の大きさに圧倒されて、言葉を失います。今、人類が極めて重要な転換点に生きていることは間違いありません。
わたしたちにできることは何でしょうか。もはや個人レベルの問題ではありませんが、少なくともまずは、どのような問題が起きているのかを把握し、理解しなければなりません。理解なくして対策もありません。
この失われてゆく、我々の内なる細菌という本は、「世界で最も影響力のある100人」の1人の本と言われるだけあって、この問題を概観するのに、とてもわかりやすく、考えさせられる一冊だと思います。
腸内細菌や増加する難病に関心のある方は、ぜひ読んでみることをお勧めします。