WHO(世界保健機関)の統計によると、たばこによる死者は世界で600万人/年に上るそうです。600万人というと、デンマークやフィンランドの人口より多い数です。毎年、タバコによって国が一つ消滅しているということもできるかもしれません。
喫煙による死者、年間600万人 WHO統計 :日本経済新聞 |
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20世紀の死者数は1億人
記事内には、別の数値も挙げられています。
まず、この600万人のうち、60万人は非喫煙者であるとされています。受動喫煙によって死に至る人も少なからずいるのです。ヘビースモーカーの家族や、同じ職場の人などが害を受けやすいと思います。
また、20世紀の喫煙による死者数は1億人に上るとされています。それどころか、抜本的な改革をしなければ、今世紀の喫煙による死者数は10億人に上るそうです。1億人という数は、確か、20世紀の戦争による死者数に匹敵する数だと思います。
ここで挙げられている数値はすべて“死者数”にすぎません。たばこによって健康被害を受けている人は、さらに莫大な数に上る、ということになります。
体に悪そうな広告も販売を促進している
記事の中でWHOのマーガレット・チャン(Margaret Chan)事務局長はこう述べています。
たばこの広告や販売促進活動を一丸となって規制しなければ、かつてないほど積極的なたばこ業界によって、青年や若い成人の喫煙意欲がかきたてられ続けるだろう
最近読んだ スタンフォードの自分を変える教室という本のp210には、『タバコの警告表示はなぜ「逆効果」なのか』という興味深い副見出しがあります。
警告表示は、いかにも害があるように脅しかけ、恐ろしがらせますが、そうして感じたストレスを解消したいという思いも育ててしまいます。結果として、タバコの警告表示を見たストレスを解消するためにタバコに手を伸ばすという悪循環が生じるそうです。
これはニュース番組についてもいえることで、不穏なニュースや悲惨なニュースのあいだにCMを挟むと、客の購買意欲(ストレスを解消したいという思い)をかきたてることができると言われています。
つまり、タバコのケースの警告表示は、タバコ会社の良心ではなく、販売戦略のひとつなのです。記事においてこう書かれているのももっともなことです。
WHOは「たばこの広告や販売促進を禁止することこそが、有効な対策だ」と指摘。オーストラリアは既に国内で販売するたばこの箱から企業ロゴやイメージカラーなどの宣伝を一掃する規制を施行しており、WHOはこうした施策の導入を加盟国に呼び掛けた。
害を知るだけでは不十分
もちろん、この記事もまた、タバコの害を伝えるだけでは、ストレスを増し加える点で、広告と変わりません。タバコの害について書く場合は、禁煙についての積極的な言葉も含めることが不可欠です。
わたしの身の回りにも、家族のためにタバコをやめた人がいます。わたしは喫煙者ではありませんが、タバコをやめることは非常に難しいことだと思います。そのように努力している人たちは、たとえ後戻りするとしても称賛に値すると思い、尊敬しています。
タバコをやめるために考案されているさまざまなアドバイスは、生活上の他の分野にも応用できる優れたものです。
たとえば、タバコの禁断症状への対策として、欲求を感じたら、5分待ってみる、というものがあるそうです。少し時間を置くことで、欲求の波が収まり、自制心が高まります。わたしも何かを判断するとき、5分ないし10分待ってみることで冷静になれることに気づきました。
人間だけが未来を思い描く 「スタンフォードの自分を変える教室」 |
また、禁煙に役立ちそうなことをカードに書いて携帯し、一日に何度も読む、という方法があります。jMatsuzakiさんのブログで知りましたが、ミッション・ステートメントを書いて毎日音読するというのもこれと似ています。
夢を現実化させる最初の運動!「ミッション・ステートメント」を作ろう!! | jMatsuzaki |
このように、禁煙はライフハックの一形態であり、禁煙を決意した人を通して、わたしたちの側が学べることはたくさんあると思います。禁煙はそれだけ価値のあることです。わたしも、禁煙する人の固い決意から学んでいきたいと思います。