心は複数の自己からなる「内的家族システム」(IFS)である―分離脳研究が明かした愛着障害の正体
ありがたいことに、分離脳研究から多くのことが学べた。 手術で二つの半球を分離すると二つの心をもつひとりの人間になるという最初の定義づけに始まり、長い道のりを経た今日では、決定を行動に移すことのできるようになる複数の心を私たちの誰もが実際にもっているという、直観に反するような見解に到達した。(p402-403)...
View Article自閉症は脳の過成長、ADHDは脳の成熟の遅れー脳画像研究による発達の違い
自閉症とADHDそれぞれの脳の発達の傾向に関する研究が報道されていました。 以前から言われていたことですが、自閉症は早期に生じる脳の過成長が、一方ADHDは脳の発達の遅れが関係しているようです。 Nature ハイライト:早期脳過成長から自閉症スペクトラム障害を予測できる | Nature | Nature Research ADHD、脳の大きさにわずかな差 大規模研究で確認 写真1枚...
View Article創造的な人がもつ複雑で多面的な人格の10の特徴―HSPや解離とのつながりを考察する
重要なのは、ただ単にある特定の性格特性を身にまとうだけでは創造性の衣鉢を受け継ぐことはできないということである。 人は僧侶のように生きても、身体を酷使して無理をして生きても、創造的であり得る。 ミケランジェロは女性にそれほど興味を示さなかったが、ピカソは常に女性を求めていた。彼らの性格に共通点はほとんどないが、しかし、両者は絵画の領域を変えたのである。(p64)...
View ArticleADHDの「片付けられない」とアスペルガーの「捨てられない」の違い―脳の発達は視覚によって導かれる
溜め込み障害は強迫関連障害に属し、DSM-5で新たに登場した項目である。 これは子どもにないではないが、一般的には成人の問題である。それをあえてなぜ取り上げるのかというと、われわれ児童精神科医が遭遇することが稀ではないからである。 …われわれの経験では圧倒的にAD/HD(片付けられない)よりASD(捨てられない)のほうが目立つのであるが。(p55-56) これは、臨床家のためのDSM-5...
View Article子どもの慢性疲労と睡眠についての解説動画―大阪市大が協力するヨドネルプロジェクト
You Tubeチャンネルyodogawakuyakusyo にて、ヨドネル大規模調査に基づく、子どもの睡眠と疲労の解説動画がアップされています。 ヨドネルプロジェクトとは 平成28年度に、大阪市淀川区と、疲労研究で有名な大阪市立大学の連携により、小学校4年生から中学校2年生までの生徒約6000人を対象にした、睡眠習慣、生活習慣、学習意欲や疲労に関するヨドネル大規模調査が行われました。...
View Articleなぜ子ども虐待のサバイバーは世界でひとりぼっちに感じるのか―言語も文化も異なる異邦人として考える
ある若い男性が自らの暗い経験を次のように記述している。 「人類から切り離されて、宇宙でひとりぼっちのように感じる……自分が存在しているのかどうかさえわからない……みんなは花の一部なのに、僕は未だに根っこの一部だ」(p133) 先日、ある講演の中で、性的虐待のサバイバーである女性のエピソードについて話されるのを聞きました。...
View Article解離と愛着から考える空想の友だち―イマジナリーコンパニオンに「出会う」人「作る」人の違い
■幼児期の子どもの半数近くに見られる空想の友だち ■小学校高学年ごろに一部の子どもに現れるイマジナリーコンパニオン ■アスペルガー症候群の子どもがしばしば持つイマジナリーコンパニオン ■遭難事故などの極限状況で現れるサードマン ■自ら願って作りだすイマジナリーフレンドやタルパ...
View Article概日リズム睡眠障害の非24時間型と睡眠相後退型の違いが見つかる―体内時計が真の夜型かどうか
国立精神・神経医療研究センター (NCNP)の三島和夫先生らのグループによる、概日リズム睡眠障害の最新の研究成果が発表されました。 概日リズム睡眠障害の患者の体内時計の周期を皮膚細胞から簡単に測定できるようになったほか、睡眠時間が日に日にずれていく非24時間型(non-24)と、宵っ張りの朝寝坊で固定する睡眠相後退型(DSPS)とでは、異なる特徴が見られたとのことです。...
View Articleダニエル・タメットが語る「ぼくと数字のふしぎな世界」―人間の本質は無限の多様性の中にある
10代のころぼくは、この数が大好きなんだ、と同級生に打ち明けたことがある。 …彼女は考えながら答えた。ぼくの質問の意味がよくわからないようだった。「数は数でしょ」と彼女は言った。 たとえば333と14は、君にはなんの違いもない? 違いはなかった。 じゃあπをどう思う? ぼくはなおも訊いた。この不思議な数についてちょうど授業で学んだばかりだった。美しい数字だとは思わない? (p149)...
View Article脳という劇場の不思議な幻視「シャルル・ボネ症候群」とは―レビー小体病や解離性障害と比較する
「病院の点滴スタンドの上に小人さんが見えるのよ」。 そんなことを言われたら、この人は冗談を言っているのだろうか? と頭をひねってしまうのが普通かもしれません。人によっては気は確かなのだろうか、と思うこともあるでしょう。 しかし、わたしの場合は違いました。そう話してくれている人が、とても頭脳明晰なおばあちゃんで、大半の若い人たちよりも頭の回転が鋭く、とても理知的なのを知っていたからです。...
View Articleなぜ耐えがたい恥は人を生ける屍にしてしまうのか―「公開羞恥刑」と解離の深いつながり
あなたが今まで「人生でいちばん恥ずかしい」という思いをしたのはいつですか? そう問われると、思い出したくもない記憶がいくつも頭をよぎって、思わず顔をしかめたり、思考を追い払ったりしてしまう人もいるでしょう。 「恥」という感情は、ひときわ耐えがたいものの一つです。痛みに強く、怒りをコントロールでき、悲しみにも呑み込まれない屈強な人でも、恥ずかしさだけは耐えることができないかもしれません。...
View Article男性の解離は女性の解離性障害とは症状の表れ方が異なる?
この記事は、以下の記事の補足です。 PTSDと解離の11の違い―実は脳科学的には正反対のトラウマ反応だった 脳科学的には正反対の反応とされるPTSDと解離。両者の違いと共通点を「愛着」という観点から考え、ADHDや境界性パーソナリティ障害とも密接に関連する解離やPTSDの正体を明らかにし2016-08-16...
View Articleだから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態
不登校状態とは生命の脳の疲労であるため生活エネルギーがなくなってしまっており、自らを守るためには、じっと動かず回復を待つこと、すなわち引きこもりが必要となる。 …不登校は「心理的な問題」と漠然としてつかみようもない解釈がなされつづけてきたが、実際には中枢神経機能障害、ホルモン分泌機能障害、免疫機能障害の三大障害を伴うものであり、人生最大の危機に発展する例があることがわかってきた。(p3-5)...
View Article成人型の慢性疲労症候群の文化が抱える「バラムとロバ」現象
この記事は解離と慢性疲労について考えた以下の記事の1つ目の補足です。 だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態 解離と慢性疲労は深く関係していて、不動系という生物学的メカニズムによって引き起こされているという点を、不登校や小児慢性疲労症候群の研究と比較しながら分析してみました。2017-05-26...
View Article解離をさまざまなレベルで生じるフラクタル現象として考える
この記事は解離と慢性疲労について考えた以下の記事の3つ目の補足です。 だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態 解離と慢性疲労は深く関係していて、不動系という生物学的メカニズムによって引き起こされているという点を、不登校や小児慢性疲労症候群の研究と比較しながら分析してみました。2017-05-26...
View Article解離は引き込み・共鳴現象と関わるリズム障害かもしれない
この記事は解離と慢性疲労について考えた以下の記事の2つ目の補足です。 だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態 解離と慢性疲労は深く関係していて、不動系という生物学的メカニズムによって引き起こされているという点を、不登校や小児慢性疲労症候群の研究と比較しながら分析してみました。2017-05-26...
View Article睡眠不足症候群とPTSD/解離の関係―眠育で不登校が予防できるのはなぜか
この記事は解離と慢性疲労について考えた以下の記事の4つ目の補足です。 だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態 解離と慢性疲労は深く関係していて、不動系という生物学的メカニズムによって引き起こされているという点を、不登校や小児慢性疲労症候群の研究と比較しながら分析してみました。2017-05-26...
View Article「こんなに学校に行きたいのにどうやっても行けない」理由―ドーパミンと不動状態のからくり
この記事は解離と慢性疲労について考えた以下の記事の5つ目の補足です。 だから君は慢性疲労に閉じ込められた―生きるエネルギーを枯渇させる解離そして不動状態 解離と慢性疲労は深く関係していて、不動系という生物学的メカニズムによって引き起こされているという点を、不登校や小児慢性疲労症候群の研究と比較しながら分析してみました。2017-05-26...
View Article「からだの記憶」の治療法―解離と慢性疲労のための身体志向のトラウマセラピー
「ほとんどの人は」とラヴィーンが指摘するように、「トラウマを〈精神的な〉問題、さらには〈脳の病気〉だと考えている。しかし、トラウマはからだの中にも生じる何かなのである」。 実際に、トラウマが最初に、真っ先にからだに生じることをピーターは示している。トラウマに関連している精神状態は重要ではあるけれども、二次的なものである。からだから始まり、こころが後に続くのだ、と彼は言う。...
View Article解離を別の反応で置き換えて意識を「今ここ」に保つための実践的ツールボックス
この記事は、身体志向のセラピーによる解離の治療について考えた以下の記事の補足です。 「からだの記憶」の治療法―解離と慢性疲労のための身体志向のトラウマセラピー 解離やPTSDは「からだの記憶」によって引き起こされる「からだ」を土台として生物学的な現象である、という理解にもとづき、身体志向のトラウマ・セラピーについて考察しました。2017-06-06...
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