【Q&A】実はあなたにも身近な「解離」とは何なのかを知る簡単なまとめ
このブログでは「解離」という現象についてさまざまな観点から扱ってきました。 「解離」というと、自分には関係ない特殊な現象だと考えている人が多いのではないかと思いますが、決してそうではありません。 「解離」はトラウマ被害者だけに関わる現象ではなく、わたしたち人間、それどころかほとんどの動物が経験する、とても普遍的な生物学的現象です。...
View Article文化結合症候群として考えるイマジナリーフレンド―時代や文化を取り込んで反映する解離現象
昨日、精神科医の林公一先生による、イマジナリーコンパニオン(IC)についての詳しい記事がアップされていました。子どものICの話題を中心に、青年期以降も残るICについて詳しい事例が紹介されています。 子どもにだけ見える「見えない友達」 | Dr.林のこころと脳と病と健康 | 林公一 | 毎日新聞「医療プレミア」 興味深い事例を集めた記事なので、ICに興味のあるか方はぜひご覧ください。...
View ArticleHSPの人が知っておきたい右脳の役割―無意識に影響している愛着,解離,手続き記憶
HSCにさまざまなタイプがある第2の理由は、脳内の「行動抑制システム」にヒントがあります。 このシステムは、どの人の脳にもありますが、人一倍敏感な人の場合、特に強力で活発に働いていると考えられ、敏感性の原因を示す科学モデルにもなっています。...
View Articleそのとき脳は自らを眠らせる―解離の謎を睡眠障害から解き明かす
解離性障害とは脳の一部が眠る睡眠障害ではないか。 昨年の初頭にうとうとしていたとき、そんな着想が湧いてきたので、記事にまとめました。 解離性障害は脳の一部だけ眠る睡眠障害かもしれない―覚醒と夢のはざまの考察...
View Article自閉症はなぜ方言ではなく共通語を話すのかーHSPの脳機能との違いを考察する
「自閉症の子どもって津軽弁しゃべんねっきゃ(話さないよねぇ)」 妻のこの一言で始まった研究は思わぬ展開を示すこととなりました。 …調査をすればするほど湧いてくる課題、考えれば考えるほど解けない疑問と向き合った結果、方言というローカリティそのものと考えていた問題が、私たちをASDのことばの謎へと誘っていきました。(p246-247) 自閉スペクトラム症(ASD)の人たちは方言を話さない?...
View Article愛着やトラウマをめぐる主役は腸内細菌かもしれないという意外すぎる話
おそらくこの分野で最も驚くべき発見は、ひとりひとりの脳の構造が、その人の腸で最も優勢な微生物の種類と関係しているというものだろう。 これはメイヤーのグループが明らかにしており、頭部のMRIスキャンから、「その人の体内でどんな微生物の庭が育っているかを実際に予測できる」と彼は言う。(p148)...
View Articleネガティブなのに成功する「防衛的悲観主義」―不安に敏感なHSPの人に向いている?
「物事はポジティブに考えたほうがよい」。 読者の中にはそう思っている人が多いのではないだろうか。心理学の分野でも、「ポジティブ思考が美徳である」というのがこれまでの支配的な考え方であった。(p29) 近年、悲観主義者のなかにも、物事をネガティブに考えることで成功している適応的な悲観主義者(これを防衛的悲観主義者という)がいることがわかっている。...
View Article光や音の「感覚過敏」を科学する時が来た―線維筋痛症や発達障害,トラウマなどに伴う見えない障害
弱い光の下でも眼痛、頭痛をはじめ全身の症状が出現するので、二重にサングラスを装用し、帽子を深くかぶり、中には、光を通しにくい布地を顔に何重にも巻いたり、袋を 被 ったりと完全防御の状態でしか通院できない症例もあります。 こうした重度の症例は、私の外来には少なくとも10例は存在し、こうした病態は決して珍しいことではないことがわかったのです。...
View Article自閉症研究の暗黒時代に埋もれてしまった、知られざるアスペルガーの歴史
アスペルガーは、自分の診ていた人間の創造力が数十年先の科学の発展を先どりしていることに思い至った、おそらく最初の臨床医だったのだろう。 彼らの関心が現実の世界から「かけ離れている」わけではないことにも、すでに気がついていた。(p269) あなたは「アスペルガー」について知っていますか? そう尋ねると、「聞いたことがある」とか、「わたしも当事者です」と答える方がいるかもしれません。...
View Article脳はどこから「もうひとつの世界」を創るのか―創造的な作家たちの内なる他者を探る
「もうひとつの世界に暮らす人の日記のように、小説を書いています」 …「私にとって、小説の登場人物はイマジナリーフレンド(空想上の友人)のようなもので、彼らと一緒に生きている感覚があります」 これは、先日ふと見つけたインタビュー記事、SUNDAY LIBRARY:著者インタビュー 雪舟えま 『パラダイスィー8』 - 毎日新聞に載せられていた、作家 雪舟えまさんの言葉です。...
View Article少年は空想の友だちに支えられて絶望を乗り越え、作家オリヴァー・サックスになった
「大人になる」というのは、子どもの繊細で神秘的な感覚、ワーズワースの言った「輝きと鮮やかさ」を忘れ、それらが次第に日常のなかに埋もれていくことなのだろうか? (p447) 子どものころだけに味わう、「繊細で神秘的な感覚」「輝きと鮮やかさ」。そんな不思議な思い出がありますか?...
View Article原因不明の身体症状をつなぐ「記憶の科学」の10の考察
これらの症状は、分断され散り散りになった体験の塊なのだ。 それは未完了の身体感覚であり、過去にはその人を圧倒した。 あたかも、惨殺され、切り裂かれたオシリスの身体が、はるかに離れた違なる場所に埋められたように、これらはかい離し、意味不明の状態にある。(p235)...
View Article覚醒維持物質オレキシンがPTSDの「汎化」に関与しているという研究
以前の記事で、トラウマ障害には、覚醒に関わる神経ペプチド「オレキシン」が関与しているのではないか、と書きました。 具体的には、PTSDの過覚醒や不眠にはオレキシンの過剰な働きが関係していて、その反対の解離の低覚醒や過眠にはオレキシンの抑制が関係しているのではないか、と考えました。 そのとき脳は自らを眠らせる―解離の謎を睡眠障害から解き明かす...
View Article当事者が求めているのは芸術的な感性をもつ医者―鈍感な医者はもういらない
最近、とある医師が書いたPTSD関係の本を読もうとしました。以前なら興味深く関心しながら読んでいたような本です。 しかし、読んでいるうちに強烈な違和感を感じてしまい、集中できなくなって、読むに堪えないとさえ思いました。...
View Article解離を学べる絵本「私の中のすべての色たち」―逆境を生き抜く勇敢で創造的な子どもたち
解離という能力を使って、痛みと窮地を生き延びた すべての勇気ある子どもたちと、子どもたちの中に住むパーツたちへ (p3) 今年8月に翻訳された絵本、私の中のすべての色たち: 解離について最初に出会う本を買ってきて読んでみました。 タイトルどおり、解離について学べる絵本なのですが、わたしの思っていることが詩的な表現でまとめられていて素晴らしかったです。...
View ArticleADHD研究の混乱に埋もれてしまった、知られざる敏感な子どもたちの歴史
しかしながら驚くべきことに、ほとんどの多動症の理論家は、多動症が当然ながらさまざまに解釈しうる複雑な概念であることを、頑なに受け容れたがらない。多元主義は、彼らの語彙にはまったくないようである。 …別のもっと重要な理由は、多動症を治療してきた医師や多動症児の親や教師、そして多動症患者のほとんどに加えて、多動症を論評し理論化するほとんどの人々が、その歴史についてほとんど知らないことである。(p11)...
View Article睡眠の常識を根底から覆してくれた「失われた夜の歴史」―概日リズム睡眠障害や解離の概念のパラダイムシフト
これまでわたしは、睡眠の本をたくさん読んできました。まがりなりにも、このブログのテーマのひとつは睡眠であり、わたしは概日リズム睡眠障害の当事者です。わたしの主治医は睡眠専門医です。 さまざまな睡眠の医学に触れてきて、愚かにも、眠りとは何か、睡眠とは何なのか、「だいたいわかっている」気になってしまっていました。...
View Article慢性疲労症候群を生き抜いたチャールズ・ダーウィンが遺してくれた研究と足跡に思うこと
チャールズ・ダーウィン。彼の名はおもに進化論によって知られています。世界中大勢の人たちが、日夜、彼の研究を引き合いに出し、その名を口にしています。 わたしはダーウィンが好きです。けれどもそれは、彼の特定の業績や、進化論の提唱者としての名声のためではありません。わたしが好きなのは、ダーウィンの人柄であり、ダーウィンの生き方です。...
View Article真っ暗闇の中で輝く人生を生きる、全身が光過敏症の女性アンナ・リンジーの物語
何時間も、わたしは目の前にある自分の手を見ることができない。 自分の腕も、膝も、足も、暗闇の箱の中で暮らすわたしは、世の中に何の影響も与えることがない。 まるでわたしが存在しないかのように、世の中は動いていく。(p160)...
View Article解離性同一性障害(DID)の手記「私の中のわたしたち」―創造的な生存戦略の凄絶な記録
私がそもそも自分の経験を書きたいと思ったのは、DIDと診断された人に、独りではないと思ってほしかったからであり、このDIDについてもっと知ってほしかったからだ。 DIDという創造的な方法でトラウマと生きてきたのは、本人の責任ではないことを知る必要がある。...
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